とアレンが出て行ってしばらくすると一人の青年が家に入ってきた。
彼は重そうな荷物を降ろすと家の中を見た。
「ただいま、買い物してきたんだけど・・・・・・」
返事はない。いぶかしげに思いながらも、部屋の中へ入っていく。部屋の中はこれでもかと言うほどに静かだった。
「兄貴・・・・・?」
ふと写真が伏せられていることに気がついた。彼は写真と同時に手紙も見つけた。
手紙を読み始めるとだんだん怒りの感情がわきあがってくる。
「バカ兄貴・・・・・・教団に戻るなよ・・・・・つーか俺も誘うな・・・・」
彼は手紙をぐしゃりと握りつぶすと、二階にあがり、荷物をまとめはじめた。そして鍵を家にかけると、そのまま汽車に乗り、兄のあとを追った。
物語は冒頭に戻る。
近くに寄った彼は門を見上げた。彼が着ているのは教団の服だ。
“お帰り、君”
そばにいる黒いゴーレムからそんな言葉が聞こえた。同時に門も開いていく。
「オレは兄貴を連れ戻しに来ただけだ」
“ならどうして団服を着ているの?”
「コレを着てねぇと面倒な手続きが必要だからだろうがっ!」
“お〜怖っあっそれと君は室長室にいるからおいで”
「言われずとも」
彼はそのままずんずんと進んでいく。周りの視線などお構いなしだ。
やがて一つの部屋の前についた。一度だけ息を吸うと扉を開ける。
「お帰り」
「・・・・・・兄貴・・・・・・」
彼は憎々しげに言った。彼の兄はのほほんとしてお茶を飲んでいる。
「・・・・?」
「・・・・?、じゃねぇよ。どういうつもりだっ!エクソシストに戻るなんてっ!!」
と名を呼ばれた青年は机をドンッと叩いた。上に乗っていたカップが倒れ、お茶がこぼれだす。
はあらら、と言ってお茶を拭く。
「ダメだよ、。お茶をごぼしたらごめんなさい、だろ??」
「ごめんなさい、だろ??じゃねぇ・・・・・なんでここへ戻ったんだ・・・・・」
「ん〜〜そうだなぁ・・・・・・」
はアレンへ顔をむけるとニッコリと笑う。
「彼に惚れたから?」
「はぁっ?!!」
「そんなことだろーと思ったぜ・・・・・」
は諦めたように息を吐き出した。既に兄の言動は意味不明。は慣れてしまっていた。
「ちょ、どういうことですか?!僕はそっちの趣味はありませんよっ!」
「お前の名前は?」
「アレン、ですけど・・・・」
「アレン、変な兄貴だけど、まぁがんばれ」
はポン、とアレンの肩を叩いた。アレンはわなわなと震える。
「僕は絶対にいやですよっっ!!」
が、もも耳栓をして聞いてはいなかったのであった。
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