アレンは喉に饅頭を詰まらせていた。が苦笑しながら、水を手渡してやる。
中国大陸に入ってもう既に一週間が経過していた。
未だクロスの手がかりはつかめないままである。そんなとき、アレンが饅頭を買った店の店主がクロスのことを知っていると言った。
「クロス元帥の恋人・・・・・?」
「あのお饅頭屋さんの言うところによれば、この町一番の妓楼の女主人に出来た恋人がクロス元帥なんだって」
「あの女ったらしのクロス元帥らしい情報・・・・」
「こらこら・・・・・・兄貴、ばれたら殺されるって」
一行はとある妓楼の前にやってきていた。
一行にただ数名を除いて感激の渦が巻き起こる。
アレンはショックに浸り、・兄弟にいたっては不吉なことを考えている。
「やっと見つけたんか・・・」
「長かった」
「てか遠かった」
「やっと見つけた」
「見つけられると思わなかった」
「実はもういなかったりして」
「ありえそうだな」
「くん、さん!不吉なことを言わないでっ!」
「悪い・・・・・」
「さて、じゃぁ入ってみようか・・・・」
アレンとラビを先頭にして彼らは妓楼へ入っていった。
と・・・・・・・・
「待てコラ、ウチは一見さんとガキはお断りだよ」
「あ〜えっと・・・・・マホジャ・・・・・さん?」
「?」
店の中から現われた体躯のいい人影には問いかけた。
ラビとアレンはいぶかしげにを見る。
「その・・・・・冬乃から連絡あって・・・マホジャさんでいいんだよな」
「あなたは・・・・」
店の中から現われたのは女だった。アレンたちは愕然とする。
は自分のゴーレムを取り出した。ゴーレムの口がパカッと開き冬乃の声がしてきた。
"マホジャ?久し振りね"
「冬乃様っ!」
"ごめん、なんだかクロスが迷惑かけたみたいで"
「いいえ、そのようなことは・・・・我らは教団のサポーターですし」
"で、この子たちはクロス隊の子なんだ。アニタに会わせてクロスのもとへ連れて行って欲しいの"
「・・・・・・・・冬乃様がおっしゃるのならば」
"ごめんね。八年前からもうお世話になりすぎててさ"
「かまいません。冬乃様には主の命を助けていただいたお礼もありますから」
"これで、お相子だね"
「はい」
"それじゃぁ、あとはよろしく頼んだわ"
「お任せを」
ゴーレムの口が閉じた。はいそいそとゴーレムをしまう。
「それでは裏口へお回りください。こちらからは主の部屋には通じてはおりませんので」
マホジャに案内されてきたのは、奥の部屋。扉を開けるととそこには艶やかな女がいた。
ほぅ、と一行から感嘆の息が漏れる。
「いらっしゃいませ、エクソシスト様方。ここの店主でアニタと申します」
「美人さんだね」
「あぁ」
「さっそくで申し訳ないのですが、ここにはもうクロス様はおられません」
「えっ?」
思わず全員がそう聞き返してしまうほど、アニタの言葉は衝撃的だった。
やでさえも硬直してしまっている。
「旅立たれました、八日ほど前に。そして・・・・・・・」
その次のアニタの言葉にさらに全員がショックを受けることとなる。
主にとの二人が・・・・
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