「クロちゃーん、そんなに落ち込むなって」
「だが・・・・・」

クロウリーは座席に縮こまってグスグスといじけている。その隣にいるは彼からの暗いオーラを浮けまくりでいささか顔色が悪いように見える。そのわけについては少し前にさかのぼる。
クロウリー城が燃えたあと、アレン、ラビ、、クロウリーは村へ降りて行ったのだ。すべての話をするために。しかし来たときにエクソシストたちに友好的だった村はクロウリーが来るのを見て態度を変えた。
村長たちはアレンやラビ、クロウリーのことを化け物と言ったのだ。
のことをアレンが抑えていなければ、今頃あの村は廃村になっていたとラビは思う。

「いいじゃん。帰れんでも。男は胸に故郷があればいいんさ」
「・・・・・・ラビ、ジジイくさい」

不機嫌モードに突入したからの言葉を浴びたラビは撃沈する。

「クロウリーさん、汽車に乗ったの初めてなんでしょう?気晴らしに中を見てきたらどうですか?」
「う、うむ・・・そうであるな。ちょっと行ってくるである」
「「いってらっさーい」」

の様子を見たアレンはそっとその場の沈黙を打ち破るように言う。
クロウリーは立ち上がって汽車の中を見に行った。は小さく溜息をつく。

「イノセンス発動時と随分キャラ違わない?」
「えぇ・・・・・」

アレンとラビはうなずいた。
そしてそれから三時間後のこと。

「遅いっ!」
「・・・・・・」

三時間経っても戻ってこないクロウリーにの不機嫌度は最高潮に達していた。
アレンとラビが仕方なしにクロウリーを探しに行く。
の不機嫌の理由はクロウリーだけではなかった。この汽車の中にはやつがいる。
ノアの気配を感じ取れるのは何もだけではない。もアクマとノアの気配を感じ取れた。

「・・・・・・・・・アリサ・ミューシカ」

弟が愛した、そして百年前ノアの力に目覚めた女。

「君の事、僕は大嫌いだよ」

の顔に笑みが浮かんだ。

「今度君に会ったら本気で殺すよ。と冬乃総元帥を傷つけたこと・・・・許しはしないよ。彼らを傷つけていいのは僕だけなんだから」

どこかでアリサが笑った気がした。
さてそんなこんなで先に向かったリナリーたちに追いついたアレン一行

「兄貴、無事だったか」
「もちろんだよ」
「死ななくて良かったな」
「あははははは、ひどいことを言うなぁ、我が弟君は」
「だろう?」
「えっと・・・・・二人とも、不機嫌になってないで・・・・・・」

リナリーが不穏な雰囲気になり始めているを止めた。

「アレン、ティムはどちらをむいている?」
「未だに東のほうですね」

汽車に乗った一行はさらにクロスを追いかけた。
東という言葉に朱雀院兄弟が反応する。

「どうしたんですか?」
「えっあっいや・・・・・・なんでもないよ」
「そうそう。ただ北じゃなくって良かったなぁって思って。オレ、寒いの苦手だし」
「そうそう、あは、あははははは」

何やら二人は怪しかった。何かを隠しているように思える。

「てかこのまま東に行ったら中国大陸まで行っちまうぜ」
「だよねぇ・・・・・てか中国とかそっち方面に何の用があるんだろう」
「冬乃さんからの指令らしいですけど、冬乃さんも何も言わなくって・・・・・」
「妙に口が堅いな・・・・・てか元帥護衛なら僕達をクロス元帥のところへ向かわせるだろうし・・・・・ん〜」
「兄貴、クスリ飲ませて口割らせようなんて考えないほうがいいぞ。確かちょっと前、任務に出る前なんだけど冬乃の年齢をクスリ使って聞こうとした男が逆に変なクスリ飲まされたっていうから」
「それは危険だねぇ・・・・・・」

落ち着きのない二人だったが、中国大陸に入るころには退屈してきたらしい。口数も減ってきていた。
それからしばらくしてとある場所で。
はヴァイオリンを演奏していた。あちこちで爆音がする。

「アクマか・・・・・僕らをやりにきたのかな」
「どうなんだろう・・・・・」

はヴァイオリンの演奏に夢中になっているようで爆音にはまったく気がついていなかった。
爆音に消されないの音は疲れた体を癒してくれるようだった。
クロスを探す旅はまだまだ続いた。
二人の兄弟の意思に反しながら・・・・・

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