「リナリー」
の声に駅で弁当を買っていたリナリーが振り向く。
そこにとアレンが立っていた。
「アレンが話あるって・・・・・それと俺も」
「あの・・・・あれから一度もまともに話をしていなくて・・・・・・・あのときのこと、すみませんでした」
「俺も・・・・・・あの女の子が来たとき、俺リナリーにちょっと強めにもの言って・・・・リナリーに心配かけた・・・・ごめん」
「二人とも・・・・・勝手だよ。アレンくんは自分にしかアクマの魂が見えないからって全部一人で背負い込んで・・・くんは過去に何かあって・・・・・そのことで私たちを避けて・・・・勝手だよ」
「ごめん・・・・・」
「助けてくれてありがとう、リナリー」
泣いていたリナリーはグッと顔を上げた。
「何度だって助けてやるんだから!!」
そう言って汽車の中に走りこんでいく。
「これは・・・許してくれた、って思ってもいいのかな・・・・」
「多分・・・・・」
「・・・・・・・・・」
「うん?」
「あなたはアクマの気配を感じられるんですね?」
「・・・・・・・うん。それと同時にノアの一族の気配も・・・・・・」
は小さく笑った。
「はじめからじゃない。教団を兄貴と一緒に出たあたりからだ・・・ちょっとずつだった気配が今でははっきりとわかるようになって・・・」
「いや・・・・じゃないですか?」
「別に。アクマの気配がわかればそれだけ多くアクマを破壊できる。たくさんの魂を救えるんだ」
「・・・・そっか。そういう考えもあったんだ」
「あぁ」
プルルルルル
「うわ、やばっ!」
アレンとは汽車の発車のベルに驚き慌てる。
「乗りま・・・・・っ?!」
アレンは腕をつかまれる。はそんなアレンに気がつかずに汽車に飛び込む。
「っ!」
「えっ?あっ!アレンッ!」
は飛び降りようとしたが、降りること叶わず扉が閉まっていく。
は大急ぎで仲間のいるところへ戻った。
「くん?どうしたの」
「アレンが・・・・おいてけぼりくらったっ!」
「え―――っ!」
は殺気を背後から感じて身震いする。
振り向くと笑顔のが立っていた。
「あ・・・・兄貴?」
「、いい度胸だね。アレンを置いて一人だけ戻ってくるなんて」
「あっだっておれも降りようとしたんだぜ?そしたら扉閉まって・・・・・・・・」
「うん、言い訳は後でタップリ聞いてあげるよ」
「聞かないで下さいっ!」
「ちょっと二人とも、今はそんなことを言い合ってる場合じゃないでしょう?」
「あっそうだッ!アレン!」
は窓から飛び降りようとする。それをラビとで押さえた。
「ちょっと待てっ!無理だろっ!ここから飛び降りたら兄貴が死ぬって!!」
「そうさっ!少しは落ち着いたほうがいいって!」
「でもアレンがぁ〜」
「皆で考えようって・・・・」
ラビたちは汽車の最後尾へときた。
「おれもっすか?」
「お願いラビ!アレンくんを探してきて」
「悪い。頼んだ、ラビ」
「行け。今ならお前の如意棒でひとっ飛びだろ」
「槌だよ、パンダ(怒)」
「ラビ、僕も行くから」
「いいけどさぁ・・・・・なぁんかヤな予感すんなぁ・・・・・・」
アレン救出にはとラビが行くことになった。
は腰に細長い剣を佩いていた。
「できればアレンを置いてった(と言われている)オレが行きたいとこなんだけど・・」
「アレンは僕が助けるよ」
「というわけでラビ」
はラビの肩に手を置いた。
「頑張ってくれ」
「薄情さぁ〜〜〜〜〜〜」
「悪い悪い・・・・・・頑張ってくれよ、ラビ」
「わかったさ・・・・・」
二人はラビのイノセンスに乗って戻っていった。
は二人が見えなくなるまで送っていく。
「くん・・・」
「あっリナリー・・・・・なに?」
「・・・・・・・一人で全部抱え込まないでね」
「・・・・・・・・」
「私たち、仲間なんだから」
「・・・・・・・ぷっ」
「どうしたの?」
「兄貴にも同じこと言われた。昔は僕が、そして今はたくさんの仲間がいるだろうって・・・」
「さんの言っていることは正しいと思うわ」
「・・・・だな。兄貴はいつもどこかずれてるくせに、そういうとこだけは鋭いから」
「そうだね・・・」
「・・・・・・・中に戻るか。風邪引くから」
「うん」
いっぽう・・・
「ねぇラビ、当てはあるの?」
「とりあえず駅まで戻って考えるさ」
「・・・・・僕に任せてみない?」
「信用していいんさ?」
「もちろん」
「・・・・・わかったさ。とりあえずのアレンに対する想いだけは信用するさ。アレンの居場所ってわかる?」
「なんとなく」
「じゃぁ行ってみるさ」
二人はとある村へ来た。
は迷いのない足取りで一件の家へ向かっていく。
「」
「アレンの気配がするよ。でも侵入できないなぁ・・・・」
二人が見ている家の前には見張りがいた。
ラビがニヤリと笑う。
「ならいいことするさ」
の視界が暗転した。
「いっ・・・」
「し―っ。ばれるさ」
二人はなにやら狭い中にいた。外では会話が聞こえてくる。
「吸血鬼だって?」
「うそぉ」
「ラビッ!」
ラビは顔を出していた。それをとめようとしたもまた顔を出してしまう。
アレンが驚いた顔で二人を見ていた。
「ラビ、?!どうしてここに!」
「君を探しに来たんだよ。なにやってるの、アレン」
「見てわかりませんか・・・・・捕まってるんです」
「うわっ!最低なやつら」
がそう言って部屋の中にいる人間たちを見た途端・・
「黒の修道士様がもう二人ぃ―!!!」
「やった!」
「押さえろっ」
「ラビっ!っ!」
ラビとはアレンと同じように椅子に縛られた。
は恨めしげに自分を縛った者達を睨む。
「なんですか。黒の修道士って」
「てかアレン、あの人たち誰」
「この村の村長さんと村人の皆さんです。吸血鬼が出るから退治して欲しいそうですよ」
「オレ達アクマ専門なのになぁ・・・・」
「うんそうだね・・・」
「あの、話をもう少し詳しく教えてもらえませんか?」
村長の話が始まった。
「実は吸血鬼、クロウリー男爵が暴れだす少し前に旅人が村を訪れたのです。旅人は神父と名乗り、クロウリー城への道を聞いてきました。死ぬかもしれないと必死で止めたのですが、旅人は笑って城へ行ってしまったのです。それから三日経ち、やはりクロウリーに殺されてしまったかと思ったとき、なんと旅人は戻ってきたのです。旅人は私に言いました。"もし古城の主に異変があったら、私と同じ十字架の服を着た者たちに知らせろ"と」
はその神父の正体がなんとなくわかってしまった気がした。
「それからしらばくしてクロウリーは村人を襲うようになったのです。今日までに九人がヤツの餌食になっています。私どもは今夜、決死の覚悟でクロウリーを討ちに行くつもりでした。が」
「「「やな予感・・・」」」
三人は異口同音に呟いた。
「主は我らをお見捨てにならなかった。黒の修道士の方!どうかクロウリーを退治してくださいまし―――!」
「どうせなら僕らのことも見捨てないで欲しかったな・・・・・」
「それ同感さ」
アレンは隣でブツブツ文句を言っている二人を無視し、その神父のことを村長にたずねる。
彼は絵を描いて三人に見せた。同時に三人は絶句し、その後盛大な溜息をつく。
そしてその後三人は片手を縄でしばられ村の外へ来ていた。
"そっか。クロス元帥の残した伝言なら従ったほうがいいわね"
ラビのゴーレムからリナリーの声が聞こえる。ちなみにアレンの持つゴーレム、ティムは汽車にいる。
のゴーレムはが管理(何かしらの理由で壊すため)、ということで持っていない。
"三人ともその・・・・気をつけてね。吸血鬼に噛まれるとその人も吸血鬼になっちゃうっていうから・・・・・・・"
「「「うん・・・・(リナリー、吸血鬼のこと信じてるんだ)」」」
"兄貴、生きてる?"
「生きてるよ、」
"心臓止めるなよ。再生はしないぞ"
「怖いことを君はサラリと言ってくれるね」
"まぁ心臓に毛が生えているんだから大丈夫か"
「僕の心臓はいつでも綺麗なんだけどな・・・・・」
"そりゃわかんないだろ"
「自分の体なんだからわかるって」
"くん、漫才をしてないで・・・・・"
"悪い・・・・・・・で、兄貴。今どんな気持ち?"
「最悪だよ・・・・」
声からして元気のないには笑った。
"まぁアレンも一緒なんだからカッコいいとこ見せないとな"
「そうだね。頑張ってみるよ・・・」
"兄貴も特殊系のイノセンスなんだからそれ使って一発だろ?"
「相手は吸血鬼だよ。ちょっと無理・・・・」
"そっか・・・・・・まぁ俺たちは先に行ってる。さっさと来いよ"
「わかった」
リナリーやとの通信が切れる。
「三人とも、止まって!」
アレンたちの足が止まる。止まった目の前にあるのは巨大な門。門全部で人の顔のように見えるのは気のせいだろうか・・・・
「クロウリー男爵の城門です」
「うちの門と同じくらい悪趣味なヤツ」
の言葉についつい同意してしまうアレンとラビだった。
「ギャァアァァァァ・・・・ヴコギギギギ・・・ウギャァァァァァ・・・・・ボゴゴゴゴゴ・・・・ギャァ」
「なんか聞こえるんだけど・・・・」
「ね・・・・・」
「さぁ前へ!」
アレンたち三人は前にも後ろにも逃げることができなかった。
しかたなしに門を押し開いてクロウリー城へと入っていく。
溜息を友に・・・・・
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