それからしばらくして・・・・・
とは銃弾を買いに、外へ出ていた。病院に戻るとアレンとラビが雪だるまを作っていた。
「なにやってんの、お前ら」
「見てわかんないさ?雪だるま作り」
「いや、わかるけどさ・・・・・・」
「ブックマンに病室を追い出されたんですよ」
「追い出された?そりゃまたなんで」
「・・・・・・・」
ラビとアレンは意味ありげに顔を見合わせた。はキョトンとする。
は二人の顔が意味していることに気がついた。あの二人も夢見の間にいたのだ。
「、荷物もっていくよ」
「あっ悪い」
「別に」
は荷物を持って病院の中に入っていく。はラビの隣に腰をおろした。目の前の景色は全て白い。
足元の雪で小さな雪玉をつくった。そしてそれをに背を向けているアレンへ投げる。雪玉は見事にアレンの後頭部に直撃した。
「いっ・・・・」
「ナイスさ、!」
「まさかあたるなんて思わなかった」
とラビは笑いながら言った。アレンは雪玉の直撃した部分を触り、を振り返る。
「、痛いです」
「そうだろうな、俺固く握ったから」
「ひどいじゃないですか」
「どっちが?俺のほうがもっと被害受けてるんだけど」
「えっ・・・・」
「ラビもアレンもブックマンも・・・・・皆して俺のこと避けてるだろ。なんか合ったのか?」
の言葉にラビとアレンは言葉に詰まる。それをは見逃さなかった。
「なんか合ったんだな。まぁ大方冬乃が仕掛けたんだろうけど・・・・・・・・何を見たかは知らない、でも俺はオレだ。ほかの誰でもないからな」
「わかってるさ・・・・は俺たちの大事な仲間さ。うん、以外の誰でもないさ」
「ええ・・・・・・・・」
「そう思っていてくれるならいいけど」
「なに言ってるさ。オレ達仲間さ?」
「そうですよ」
「マジで?」
「マジで」
は一瞬の沈黙の後に笑った。
「よかった。俺、嫌われていると思ってさ」
「そんなことないさ。俺、のこと大好きだもん」
「そりゃ嬉しい」
「僕もですよ」
「嬉しい。でもアレン、兄貴のことは?」「嫌いです」
「あはははは、兄貴も嫌われてるなぁ・・・・・」
「アレン、そりゃちときついさ」
「そうですか?あのしつこい人にはこれくらいで十分なんですよ」
「十分すぎるけどな」
「あっそうだ。なぁラビ」
「ん?」
「神田って男だよな」
「そうさ」
「僕、始めは女だと思いました」
「あっやっぱ?」
「えぇ」
もアレンに同意する。神田はあの仏頂面をどうにかして、髪の毛をおろせば女になる・・・かもしれない。(いささか口の悪い女だが)
は神田が笑っているところを想像し、やめた。というよりも想像できない。
「どうしたさ」
「やべぇ・・・・ちょっと神田の女姿なんて想像できねぇ・・・・・・」
「何なら今度冬乃から服借りて、コムイの協力頼んでユウにスカートはかせて見るさ?」
「ユウ?」
「神田の下の名前さ。神田ユウっての、あいつ」
「本当ですか?うわ・・・・・僕はじめて知りました」
「アレンも知らなかったん?」
「えぇ、皆神田って呼ぶから・・・・」
「今度ユウって呼んでみろよ。あいつ目玉カッて見開くぜ、きっと」
ラビはケケケ、と笑って言った。アレンともそれにあわせて笑う。
「まぁでも会うのはしばらく先のことかも知れねぇけど」
「えっ・・・・・・」
「冬乃から連絡あったんさ。今度は長期の任務だからって・・・・・ノアの一族の出現を"夢見師"が感じたって」
「夢見師?」
アレンとは首をかしげた。ラビの言っている意味がわからない。
「ブランド家に出てくる特殊能力さ。自分の主の記憶を他人に夢として見せることができるってやつ。確かミシェル元帥だったはず・・・あっもう一人、元帥でブランド家の人間がいるんさ。名前は・・・シェル・ブランド。こっちは確か"時空師"とかなんとか・・・・・」
「時空師・・・・」
「そっ。空間移動ができるんさ。時間は・・・どうなんだろ」
ラビは首をかしげた。
「あいまいだな・・・・」
「だって記録がないんさ。仕方ないっしょ。多分その記録は冬乃がもってると思うんだけど・・・・」
「冬乃さんが?」
「そうさ。ブランド家と瑚乙家から裁定者は生まれてくるから。多分極秘情報扱いになると思うさ」
「極秘情報ねぇ」
「まぁそんなこと考えるよりもこれからのことを考えたほうがいいですよ。ラビ、僕はちょっと歩いてくるんで先に戻っていてください」
「おう」
アレンは病院から離れていった。その場にラビとだけが取り残される。
「ラビ・・・・・」
「うん?」
「オレ達ってなんで団服を着てるんだろうな・・・・・・・」
「そりゃ・・・・」
ラビの言葉をは聞いてなかった。気配がした。
「ラビッ!アクマだっっ!アレンは今左目を使えない。さっさと行くぞっ」
「えっ?あっ?!」
走り始めたのあとを追うように、ラビも走り始めた。
街中へ二人がたどり着くとすぐにアレンを見つけた。辺りを見回している。
「アクマ・・・・」
がアクマの気配を見つけ出す。
「ラビ、アレンのそばにいる赤ん坊を背負った女が見えるか?」
「見えるさ」
「アクマだ・・・・壊れるな?」
「もちろん」
「よし。行くぞ」
ラビはアレンへ向かっていく。は周りに気配を配っていた。何体もこの中にアクマは潜んでいる。
団服を着て、そして左目が使えないことに動揺しているアレンを狙っている。
白月は舌打ちしたい気分になった。
ふとアレンとラビを見ると警官に絡まれていた。その警官でさえもアクマだ。
は人波をぬって、警官のそばまで行く。そして飛び上がり、回し蹴りで警官を吹き飛ばした。蹴った右足が固い鉄を蹴ったかのように痛む。
「アレン、ラビ・・・・こいつらはオレ達とやりあいにきたらしいぜ」
三人は汽車が多く止まっている場所まで来た。
汽車からたくさんの人間が降りてくる。どの人間からもアクマの気配がしていた。
「ラビ、。どうしてアクマだってわかったの?」
「わかったんじゃないさ、全部疑ってるんだよ」
ラビは言った。はラビの言葉にうなずく。
「アレンみたいに便利な目を持っているわけじゃないからさ・・・・・アクマと人間の区別がつかないんだ。人間は・・・・どうしても伯爵の味方に見えるんだよなぁ」
「そうそう・・・・俺も同じ。人間は同じってよりも敵意識が強いんだ。だってそうだろう?今日会った人間が明日にはアクマになっているかもしれない・・・・オレ達は圧倒的に不利な状況で戦ってるんだ」
三人のもとに巨大な弾丸が打ち込まれた。三人はそれぞれの方向へ飛ぶ。
「ラビ、!」
「だいじょーぶ、だいじょーぶ。雑魚ばっかさ」
「右に同じくだ」
はヴァイオリンを取り出した。周りを囲むのはレベル1のアクマばかり。
ならば多数対少数にぴったりのイノセンスを使う。
「久し振りに戦闘でも使うな・・・・頑張ってくれよ、"闇の調べ"」
が奏でる音は超音波となって半径10キロ以内のアクマを次々に破壊していった。
彼が奏でた曲は"鎮魂歌"このイノセンスを使うときには奏でることが一番多い曲だ。
「アレン、ラビ。大丈夫か?」
「・・・・・オレの出番をなくさないでほしいさ」
「悪い悪い・・・・・でもアレンも怪我してるからさ。戦うの大変だろう?」
「・・・・・・・で、はいったいいくつアクマを壊したさ。おれんとこは37壊れたさ」
「僕のところは30くらい・・・・・」
「俺んとこは95くらい」
「あわせて170か・・・・・・アレンとリナリーが負傷中なのを狙ってか、はたまた別の目的があるのか・・・・」
「どっちにしろ病院が心配だ。早く戻ったほうがいいだろう」
「そうさ。ほれほれ、、アレン。ここもって」
ラビは自分のイノセンスを指差す。アレンとは顔を見合わせつつも、ラビに示されたところを握った。
「大槌小槌、伸伸――っっ!」
「うわぁぁぁぁ!!」
「病院まで、伸伸伸―――っっ!」
三人はヒュ――ンッとラビのイノセンスで空を飛んでいった。
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