「リドル、キミ本当に気がついてないの?」
「なにをだ」
「自分がのこと好きだってことに」
「・・・・・・・・・・・・・・はっ?」
「あ〜やっぱ気がついてないんだ」
ミシェルは談話室のソファに座りながら、呆れたように言葉を続けた。
「キミ、のこと好きなんだよ。というか好きッて言葉の意味知ってる?」
「・・・・・・・・・あぁ」
「好きっていう想いのことも?」
「・・・・・・・・・・・・・・・・あぁ」
「知ってないね」
ミシェルの言葉にリドルの眉ねがよった。
「のことを見て、どんな感じがする?」
「・・・・・・・・・」
「そばにおいておきたい?一緒に話したい?愛しい?」
「・・・・・ただ一緒にいられるだけでいい」
「ほぅ・・・・・・・・まぁそれも一種の好きっていう思いだね」
ミシェルはごそごそとやりはじめる。取り出したのは分厚い一冊の本。
題名は『恋初心者のあなたへ』
著者は・・・・・・・
「お前かっ!」
「やぁん。せっかくキミの為に作ったのに。それを読めば、とお近づきになれるよ、今よりももっと・・・ね」
ミシェルは意味深な笑顔を見せながら、リドルの手に本を乗せる。
「いらんわっ!!」
「え〜〜それ使って両思いになりました、って人結構いるんだけど?」
「・・・・・・・・・嘘だろう」
「本当だよ。レイブンクローの三年生の子と、七年生の人と、ハッフルパフのお六年生の子と一年生の子と四年生の子と、グリフィンドールの七、六、五、三、一の子と、スリザリンの七、六、五、四、三、二、一の子たち」
「何人に渡してるんだ・・・・・・・・・」
リドルは呆れたように溜息をついた。よくもまぁこんな胡散臭い本を読んで両思いになれたものだ。この本を読んだのは一体何人なんだ、とリドルは聞きたくなった。
「んと、結構いるよ。多分学校中の女子には・・・・・・・うん」
「のわりには、嬉しそうな報告は少ないんだな」
「両思いになった暁にはこの本のことを忘れろっていう呪文をかけてあるんだ」
「・・・・・・・」
リドルは胡散臭そうな視線をミシェルへむけた。
「ひどいなぁ・・・・・少しは信用してよ・・・・僕たち親友じゃないか」
「親友は普通親友をからかって遊ぶものか」
「ひどいな・・・・・に言いつけるよ?」
リドルが石化した。ミシェルは腹を抱えて笑い転げる。
「お前なぁ・・・・・」
「わかりやすっ!ってか、面白い」
ひーひー言いながら笑うミシェルにリドルは呆れたような溜息をついた。
ちょうどそこへが大量の本を抱えてやってきた。ミシェルが立ち上がって本を半分持ってやるとは笑顔で礼を言った。
リドルが睨んでくる気もしたが、とりあえずここは自分で動いてもらうしかない。
ミシェル式恋愛必勝法第七『恋愛は自分で求めよう』を実行する。
「、残りの半分を持つよ」
「でも・・・・・」
「いいから」
「・・・・・・・ありがとうございます、リドル」
「どういたしまして」
の笑顔を見ながらリドルは首をかしげた。にお礼を言われるたびに、の笑顔を見るたびに、に触れるたびに、自分の胸の中に何か温かいものが広がっていくのだ。
「初心・・・・・・」
ミシェルが小さく呟いた。呆れたような声だ。が、今のリドルには聞こえてはいない。
「・・・・・・・本当、恋愛初心者だよね・・・・・」
溜息をつきながらミシェルは言う。
「確かに」
その言葉に同意するように、ミシェルの隣にアズサが立った。
「どう思う?」
「くっつく。いいカップルじゃない。互いに惚気るわよ」
「・・・・・・・・・・だろうね」
二人は顔を見合わせるとクスクスと笑った。
「アズサ、愛してるよ」
「ん私もだよ、ミシェル」
二人はニコッと笑いあった。
「クリスマスのダンスパーティ、二人がくっつくようになにかしようか」
「あっいいね、それ」
「アズサも残るんだろう?」
「うん」
「じゃぁ・・・・・冬休み中はずっと一緒だね」
「あっ///////」
ミシェルはアズサの反応を楽しむかのように笑った。
アズサは真っ赤になってミシェルの体を叩いた。
「さて・・・・・・・今年でリドルたちもゴールインできるかな・・・・・・・」
クスリとミシェルは笑って、アズサの手を握った。
アズサが顔をあげてキョトンとする。
「さっ、アズサ。僕らは計画を練らないとね」
8 10
menu