クリスマスパーティの時間。
リドルは落ち着きなく、談話室をうろうろとしていた。
それを呆れたような目で見ているのは、ミシェルだ。ちなみにダンスのパートナーは決めてはいない。

「リドル・・・・・・・少しは落ち着いたら?」
「なにがだ・・・・・・・俺は十分「落ち着いているようには見えないよ、リドル」
「・・・・・・・・・・本当にがくるのか、と思って・・・」
「リドル・・・・・キミって本当どこまで鈍感なわけ?普通よくよく考えてみればわかることじゃないか」

ミシェルは大げさに溜息をついた。少し諭してやったほうがよさそうだ。

「いいかい、リドル。どう考えても君とは相思「リドル、ミシェル!」

思わぬ邪魔にミシェルは落胆し、女子寮への階段を見た。そして同時に目を見開く。

・・・・」
「ごっごめんなさい、髪の毛上手くあげられなくって・・・・」

ミシェルがハッと先に我に帰った。隣に立つリドルを見ると思ったとおり、頬を染めてに見とれている。
靴のかかとで思いっきりリドルの指を踏みつけた。

「っっ!ミシェル、お前・・・・・・・!!」
「ほら、なんか言って」
「・・・・・・・・」

は淡い青のドレスを着て、金髪を頭の上のほうで結い上げていた。髪を止めるのは玉飾りのついた髪飾り。
唇にはピンクのルージュが引かれている。

「あ〜〜すごく綺麗だね・・・・・本当」
「あっありがとうございます、リドル」

は照れたように笑った。
惚気ている二人は放っておくか、とミシェルは思い先に広間へと降りて行った。
入った瞬間女子生徒の黄色い悲鳴に耳を塞ぐこととなる。

「ミシェル君、今日は誰と踊るの?」
「私と踊りましょうよ」
「ねぇ」
「あ〜ごめんね?僕は誰とも踊らないって決めてるんだ」
「なんで?」
「キミ達があまりに綺麗過ぎるからね・・・・一人を選んで哀しませたくないんだ」
「ミシェル君・・・・」

キラキラとした女子生徒の瞳にみられ、ミシェルは半ば引く。
半ば引きながらチラリと背後を見た。リドルとがやってくる。

「やぁリドル。遅かったね」
「リドル様っ!」
「はぁ・・・・・・素敵ですわ。さすがはリドル様」

しかし女子生徒はリドルの隣に立つを睨んだ。
はビクリとしてリドルの影に隠れた。リドルは女子生徒を睨む。

「ごめんね、僕今夜は彼女と躍ることにしているんだ」
「そんなぁ・・・・・」
「そういうこと。彼女は僕ら二人がエスコートするんだからね」

ミシェルがの左腕をつかみ、リドルがの右腕をつかんだ。
は赤面してあたふたと青年二人を見た。

「今夜は諦めてくれ」
「そゆこと。じゃね」

リドルとミシェルはをエスコートして、広間に入って行った。
普段大人しいだが、ドレスを着て美しい青年に挟まれているとそれなりに目立つ。
男子生徒たちがをダンスに誘おうと先ほどからチラチラと見ていた。

「・・・・・・・」

ミシェルはその視線を感じながら、とリドルを見た。
二人は微笑みあいながら手を取り合っているところだった。
やっと肩の荷が下りるとミシェルはほっとしていた。

「ミシェル」
「ん?やぁ、アズサ」

ミシェルは笑顔で声をかけてきた黒髪の少女を見た。
アズサ・サク。日本人の留学生だった。ミシェルと恋仲でもある少女はミシェルに手をさし伸べた。

「エスコートしてくれるよね?」

流暢な英語で話しかけられ、笑顔で見られては断るわけない。むしろ断る理由もない。
白い手を取って、甲に軽く口付けるとアズサを上目遣いに見上げた。

「もちろん」

「リドル、いいのですか?」
「なにが?」
「勝手にパーティから抜け出してきて」
「別にかまわないだろう。、君もうるさいのは苦手だろう?」
「うん・・・・・でもよくわかりましたね」
「あ〜〜〜うんまぁな・・・・・」

が人ごみを嫌いだということは普段の彼女を見ていればわかる。誰のそばにいることもないのだから。

・・・・・あのさ・・・・・・・」
「はい?」
「あ〜〜・・・・なんでもない」

リドルは周りが暗くてよかったな、と思った。はきょとんとしてリドルを見た。
リドルは深呼吸するとを見つめた。

「好きだ」
「////////」

の顔が一瞬にして真っ赤になった。リドルは強くを抱きしめた。
の頭が混乱し始めた。

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