「リドル、急いで」
「ミシェル・・・・・待て」
幼馴染同士のリドルとミシェルはホグワーツ特急に乗るべく急いでいた。
ホグワーツ特急に乗るのは七年目だが、未だマグルの視線を集めてしまう。
かごに入れた梟が騒ぎたて、そして子供にしては数多くの荷物があるのだから。
さらに二人の容姿は中々のもので、それがさらに視線を集める。
「やっときたぁ・・・・・」
なんとかマグルにばれず、ホグワーツ特急へ乗り込めた二人。
次は空いているコンパートメントと同級生を探さなければいけない。
「はどこにいるかな」
「あっ、リドル、ミシェル!こっちです」
「ッ!」
ミシェルとリドルは一つのコンパートメントから顔を出して手を振る少女の下へ駆け寄った。
ホグワーツで同じ寮生の・シルビアだ。
美しく輝く金髪を軽くカールさせ、背中と胸のところに流している。澄んだ碧眼は楽しげに輝いている。
「ごめんね、待った?」
「ううん。新しい教科書を読んでいたから大丈夫です」
「久し振りだな、」
「そうですね、リドル」
同じ寮になって初めて知り合ったとリドルたち二人は相性が合うらしく、大の親友になっていた。
そして親友になって三年目の年。リドルはある思いを感じた。
「・・・・・・・・・・?」
を見るたびにつのっていく想い。それを一般的に"恋"ということをリドルは知らなかった。
この時、リドルは既に優等生として学校中で有名になっていた。
、ミシェルもスリザリン以外の寮でも有名だった。特には男子生徒に人気があり、よく声をかけられた。
そのたびにリドルがのわからないところで、リドル自身無意識に男子生徒を睨んでいる。
それを知っているのはミシェルだけだった。
「何を笑っているんだ、ミシェル」
「だって・・・・・・」
ミシェルはリドルの鈍感さを面白がっていた。もちろんも鈍感だ。ある意味では相思相愛になっている二人だが、まったくその真実に気がついていないのだ。
教えてやろうかとも思ったが、それでは面白くないため放っておくことに決めた。もちろん自分でも自覚している。己が超ド級のサディストだということを。
「ふふっ、リドル・・・・・・いつ気がつくのかな、君は」
「お前、人を玩具にしてからかうのが好きなやつだな」
「おや?三年目にしてやっと気がついたのかい。まぁ僕らは三年以上は付き合っているけどね」
「何が言いたい」
ミシェルは黙って紅茶を飲んだ。リドルの殺気が膨れ上がっていく。
「・・・・・・君の内面に気がついてるってこと。その隠された真実に。僕が気がつかないとでも思ってた?ふん、僕を低く買いかぶりすぎだよ」
「・・・・・・・・・・・・いつから気がついていた」
「かなり前に。でもまぁ君に僕は着いていくよ。退屈しなさそうだし」
退屈だというのはあとからつけた理由だ。というか本当の理由を言ったら即その場で直ぐに殺されていたと思う。
まさか自分の幼馴染ましてや男から"君に興味があるんだ"などと言われたら同性の人間はたいてい怒るか呆れるか殺意が芽生えるかだろう。
まだ殺されるつもりのないミシェルだ。リドルに本音は言わない。だが、本当にちょっとだけだが、彼といることで安心できた気もした。
「リドル、ミシェル」
「、どうした?」
「今度、クリスマス・パーティがあるそうですよ。家に帰らなかったのはこの寮では私たちだけのようで・・・・・」
「へぇ・・・・・・」
「パーティに出ましょうね?」
が瞳を輝かせていった。ミシェルは隣のリドルを見る。頬が赤くなっていた。
『やれやれ・・・・・・・』
ミシェルで内心で苦笑する。中身はあれなくせして、恋に関しては意外と奥手らしい。
これでは苦労するな、と思ったミシェルは少しばかり手伝うことに決めた。
「リドル、ダンス誰と踊るの?君と踊りたいって女子がたくさん残ってるらしいよ」
「誰とも踊らない」
「え〜優等生の君がそんなことしていいの?」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
「誰かに決めないと当日女子が五月蝿いよ」
「誰にすればいい?」
「それを僕に聞く?」
「他に誰がいる」
「はいはい、わかりましたよ。ん〜そうだなぁ・・・・・・、なんてどう?ダンスが上手っぽいし」
「・・・・・・か」
リドルはしばらくの逡巡ののち、セイに聞きに行った。
もちろんとリドルはミシェルのそばにいた。よって二人の会話は筒抜けであった。
二人が並んだら、絵になるような恋人同士のように見えた。互いに軽く頬を染め、初々しい恋人達のようだ。
「鈍いんだよねぇ、二人とも・・・・・・・勉強では中々鋭いのに、本当奥手だよなぁ・・・・・・」
両方とも相当な恋音痴。ちなみにはかなりの音痴らしく、男子生徒に憧れの眼差しをむけられても軽く受け流してしまう。
その笑顔が男子生徒を虜にしていることにも気がついていない。女子の敵意だけはわかるらしいが・・・・・
リドルはといえば、に好意を向ける男子には容赦なく殺意の視線を送り(一部の男子はここでを諦める)やはりこちらも好意を含んだ視線には気がつかない。
時たま女子生徒に怪訝そうな視線を送っているのを見たことがある。
「・・・・・・・・・」
ミシェルは溜息をついた。考えてみればこんな二人とよく付き合っていけたなと思う。
「意外と僕も鈍感だったりして・・・・・・」
「ミシェル、君が鈍感だったらこの世の男はほとんどかなり鈍感だよ」
「・・・・・・・そうだね、リドル」
ミシェルはニコッと笑って友人二人を見上げた。
自分が鈍感でもいい。彼らと一緒にいられるのならば。
「それで、今夜のパーティには何を着ていこうか。二人ともパートナーになったんでしょう?」
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