"リドル、リドル・・・・・あなたのことを愛しています"
あぁ・・・・・君はいつもそう言った。
"あなたを独りにはさせません"
君は約束したのに。
"ごめんなさい・・・・・・"
君は一人で逝ってしまった。僕を残して・・・・・・・・
「・・・・さん、リドルさん!」
は苦しげにうめくリドルのことを必死で起こそうとしていた。
ミシェルはどこかに出かけてしまっていない。
「リドルさん!」
リドルがバッと眼を開けた。はビクリとする。
「・・・・・・・何故、僕を独りにした・・・・・」
「えっ・・・・・」
は気がつくとリドルに抱きしめられていた。それを感じるとは慌てる。
「リッリドルさん、私はです・・・・・」
「・・・・・・君を愛していた・・・・・・なのになんで独りにする。約束しただろう?一人にしないと」
「リドルさん・・・・」
は優しくリドルを抱きしめた。
「リドルさん、落ち着いてください。私はです。ではありません」
優しく背中を撫でていくとリドルの腕の力が弱まった。
やがて腕が離される。リドルはじっとの顔を見ていた。
「私の顔に何か付いていますか?」
「・・・・・・・・見れば見るほどに似てくる・・・・・・・」
「気のせいですよ、リドルさん」
は微笑んだ。
「そうだ。コーヒーでもお持ちしましょうか?きっと落ち着きますよ」
「・・・・・・・好きにしろ」
リドルはソファに腰掛けると本を読み始めた。
は部屋を出て再度コーヒーを持って戻ってくる。
リドルのそばによるとリズはコーヒーを差し出した。
「どうぞ」
リドルは黙ってコーヒーを受け取る。
一口飲んで眼が丸くなった。の入れるコーヒーほど上手いものにあったことはなかった。
「・・・・・・」
だが、それを認めるとあとでミシェルにからかわれそうな気がしたために、何もいわず空になったカップをへ渡した。
「お味はどうでしたか?」
「・・・・・・・・・また入れたのならばもってこい」
遠まわしな言い方には一度笑みをこぼすと、はい、と言って微笑んだのであった。
が部屋を出て行くとリドルは自分の手を見る。
先ほどを抱きしめたときの触れた心地がに似ていた。
ここまでくると何らかの執念を感じる気がする。
「・シルビア・・・・・・」
自分は彼女を愛せたのだろうか。彼女が逝くその瞬間まで彼女に何か与えられたのだろうか。
しかしリドルの問いに答えられるものはもう既にこの世にはいない。
リドルはソファに寝転ぶと眼を腕でおおった。
「・・・・・愛している」
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