シンッ、と静寂がその場を支配した。は何も言えなかった。
「さん?」
「・・・ごっごめんなさい・・・・」
「なにがだ」
「私、リドルさんのことを考えず・・・・・・・・聞いていた・・・・・」
はポロポロと涙をこぼしていた。ミシェルが慌ててハンカチを彼女に渡す。
「・・・・・が死んだのはお前のせいじゃないだろう」
「それでも・・・・私、リドルさんに辛いことを思い出させてしまいました・・・・・」
「・・・・・・泣くな、」
リドルはの手に触れた。は顔をあげて、リドルを見た。
「お前のせいじゃない。のことは大丈夫だ。だから、泣き止め」
「っ・・・・・でも・・・・・ミシェルさんだって話すの辛かった・・・・・・っだろうし」
「大丈夫。さん、大丈夫ですから」
ミシェルもグスグスと泣くを慰めていた。
と似ているだけにの泣く姿がに見えてくる。
「、お前が泣く必要はない。だから、泣き止め」
は必死で泣き止もうとしていたが、余計に泣いてしまった。
ミシェルは立ち上がって、目が赤く腫れないように蒸らしたタオルを作ってくる。その場に取り残されたのはリドルとだけになった。
リドルは未だに泣き止まぬの濡れた頬に手を当てた。ミシェルは涙に濡れた瞳でリドルを見た。
「、泣くな。大丈夫だ」
「リドルさ・・・・・」
「・・・・お前の泣き顔は見たくない・・・・・・だから、涙を収めろ」
「・・・・・・・ふっ、はい・・・・・」
はごしごしと目をこすって涙を止めようとした。その手をリドルの手がやんわりととめる。
は真っ赤になった目でリドルを見る。
「・・・・・・・」
「はい」
リドルはを優しく抱き寄せた。
そっと耳元で大丈夫だと囁けば、の体が震える。
「お前といると安心する。まるでみたいだ・・・・・」
頬に手をはわせれば、ほのかに紅潮した頬の熱が伝わってくる。
「リドル・・・・・・・さん」
「お前はマグルなのに・・・・・・とは違うはずなのに・・・・・」
リドルはの体を折れそうなくらいに抱きしめた。
「っ」
は小さな声をあげる。リドルはそれにも気がつかずただ抱きしめ続けた。
「いつの間にかよりもお前のほうが俺の中にいた。何故だ・・・・・それともお前は、なのか?」
「私は・・・・・・・」
は何か言いたげな顔をしたが、何も言わずリドルから視線をそらした。
「私はです。あなたのいうとは違う人なんです、リドルさん」
「お前は何者だ・・・・・」
「私はですよ。ただあなただけを見つめる、ただの人間です」
はそう言って小さく笑うとリドルからはなれて自室へと戻ってしまった。
蒸らしたタオルを持ってきたミシェルはぼぉっと立っているリドルを不思議そうに見た。
「リドル?なにがあったの?」
「ミシェル・・・・・・俺はとが重なってしょうがないんだ」
「・・・・・・・・・どちらに似てる?」
「・・・・」
「うん、わかった。大丈夫、重なってないよ、リドル。ねぇ自分に正直に生きて。もきっとそう願っているよ」
「・・・・・・・・・」
リドルは何も言わずに自室へと引き上げる。その場にただ一人残されたミシェルは悲しげに目をふせた。
想うのは愛しい一人の少女。今もホグワーツにいるはずだ。
「アズサ・・・・・・」
君なら、こんなときどうするんだろうね。
小さく呟いた言葉はしかし、誰にも届きはしなかった。
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