リドルはそれから毎日のもとへ行った。は起きているときもあったが、一日のほとんどを寝ていた。
体が既に機能しなくなり始めているという。
「リドル、お帰り」
ミシェルは部屋でリドルをむかえた。リドルは疲れたような笑みを見せる。
「の様子は?」
「珍しく起きていた。長い夢を見ているんだ、って言ってた・・・・・・記憶もどこか曖昧だった」
「そっか・・・・・・」
少しずつ彼女の記憶は薄れているそうだ。
いずれリドルやミシェル、アズサと過ごした記憶もなくなってしまうのだろうか。
「・・・・・リドル、アズサが匂い袋をくれたんだ。でも僕は使わないから君に上げるよ。心が落ち着くんだって」
「あぁすまない。アズサにも礼を言っておいてくれ」
「わかった」
二人の間に沈黙が落ちた。先に口を開いたのはリドルだった。
「ミシェル、お前は卒業したらどうする?」
「僕?さぁ・・・決めてないな」
「そうか」
「そういう君は?」
「・・・・・・・世界を・・・・滅ぼす」
「・・・・やっぱりね」
ミシェルは小さく笑った。
リドルの眉根がよる。
「やっぱりってなんだ」
「君ならそういうだろうと思って・・・・・・」
「だからどうした」
「・・・・・・僕も着いていくよ」
「はっ?お前・・・・・なんで」
「リドルを独りにはさせないよ。君のカリスマ性だったらたくさんの魔法使いが寄ってくる。でもそれは本当の友じゃない。僕が君のそばにいるからさ」
「前にも言わなかったか?男に言われても気持ち悪いと」
「・・・・・・・うん言ったね」
「・・・・・・・お前はバカだ」
「きっとそうだね」
ミシェルは小さく笑った。リドルが俯く。
「悪い・・・」
「えっ?」
「お前にはお前の道があるだろうに・・・・オレが巻き込んだ」
「何言ってるの。君と僕は幼馴染の腐れ縁だろ?それにリドルが巻き込んだんじゃなくて僕が自分から入っていったんだから気にしなくていいよ」
ミシェルはニコッと笑うと、リドルの頭を撫でた。
ムスッとした顔でリドルはミシェルを睨む。
「俺は犬じゃないぞ?」
「いや、なんとなくこうしたくってさ・・・・・・」
リドルは文句を言いつつもミシェルのなすがままにさせていた。
なんとなくそうされるのがいやではなかったのだ。
そんなやりとりから二日後・・・・ちょうどの病が治らないと聞いてから一週間が経った日のこと。
「・・・・・・・・えっ?」
ミシェルは我が耳を疑った。
隣に立つりドルを見れば、彼は顔面蒼白で立ちすくんでいる。
「が・・・・・危篤?」
「来なさい。二人ともです」
「・・・・・・・・・・・・ッ!!」
リドルの悲痛な声がミシェルの耳にはいつまでも残った。
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