「リドル・・・・・・」
ミシェルはそっと友の名を呼んだ。
暗い室内には人の気配はない。しかしミシェルはそこに一人の友人がいることを知っている。
そして彼は今どんなことを思っているのかも。
「・・・・・・・マクゴナガル先生から聞いた・・・・・・・・・、病気だったんだって」
答える声はない。ただ静かな闇がそこには広がっているだけだ。
「・・・・・・・・治療が難しくて・・・20歳まで生きられるかわからなくて・・・・・それでもは魔女になるために、ここへ来たんだって。学校でも治療を続けることを条件に・・・・・一週間に一度、マクゴナガル先生の部屋で治療を受けてたんだって。自分で行って自分でやってくる。
マクゴナガル先生のいない時に行っていたから、やってるかやってないかわからなくて・・・・・・、治療の時間を惜しんでまで君といたかったんだって、言ってたらしいよ」
ミシェルはリドルのいるであろうあたりに目をむけた。
「治るのは難しいって・・・・病気も進行していて・・・・・このままじゃここにいられないかもって・・・・・」
やはりリドルは何も言わない。ミシェルはカッとなった。
「リドルはこのままでいいのっ?!せっかくと両想いになって、幸せな時間を手に入れられるのに!君は逃げるのかっっトム・リドルッ!」
「お前になにがわかるっ!」
「っ」
「お前に何がわかる・・・・・・俺の何が・・・・・・」
「・・・・・・・・わかるよ、リドル・・・・・」
「お前にはアズサがいる」
「・・・・・本当にアズサがいると思ってる?生きてるアズサが?」
えっ、と困惑したような声が聞こえてきた。ミシェルは部屋の戸に体を預けた。
長い前髪が表情を隠す。
「アズサはもう死んでるんだ・・・・何年も前に・・・・魔女になったのに・・・殺されて・・・母校に戻ってきたって言ってた。リドル、ここじゃ幽霊なんて珍しくないから君にはわからなかったのかもね・・・・・・もちろん皆、アズサのことは知らない。僕たちの前だけにしか姿を見せてないから」
フワリとアズサの姿がミシェルの隣に現れた。半透明な体だった。
「リドル・・・・」
「アズサ・・?」
「のことも考えて上げなよ。リドルを心配させまいとしていつも我慢してたんだよ」
「、謝ってたって・・・・・君に、黙っててごめんなさいって・・・・・・」
フラリと暗闇からリドルが出てきた。ミシェルは倒れこんでくるリドルの体を支えた。
「リドル・・・・・まだのこと好き?」
「当たり前だ」
「じゃぁ、祈ろう?僕らには祈ってることしか出来ないんだから・・・・君は、もっと元気して。が戻ってきた時、君が倒れてたら心配させるよ」
「・・・・・・・あぁ」
リドルはミシェルの肩に額を当てた。
「リドル、君がどんなにのことを想っているのか僕はわかってるよ・・・・君は一人で悩まなくていいんだ・・・・」
「・・・・・・・・・っ」
「大丈夫。どんなことがあっても君を一人にはさせない。僕がそばにいるから」
「・・・・・・男からそんな言葉は聞きたくないな・・・・・」
「フンッ、いやみったらしいな」
ミシェルとリドルは顔を見合わせると小さく笑ったのであった。
それからしばらくして彼ら三人がマクゴナガル先生に呼び出されるまで、まだ時間はあった。
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