白哉はの言葉に瞠目した。は不思議そうに首をかしげて白哉を見る。

「どうかしましたか?」

「いや・・・・・・ねぇ、その人に会える?」

「えぇ、あの方のいる場所は知っていますもの」

「ねぇ・・・・その人のところに連れて行って。僕も会いたい」

は少し考えてから笑顔でうなづいた。


「白哉・・・・・が死んだ」

そう父から聞かされたときには驚いた。絶対に死なないと信じていたが死んだのだから。

「なんで・・・・」

「急な病だ。どうやら現世でもらってきたらしい。零番隊全員がかかって・・・・・」

「そんな・・・・あの子達は?!はどうなったのですか?!」

「わからん」

「・・・・・・どういうこと・・・・?」

「行方がわからないのだ。も香也も朱音も・・・・・・三人ともが行方不明なのだ」

「そんな・・・・・・」

もう二度と仲の良かったに会えないという悲しみ、そしてへの愛しさ、零番隊員たちへの尊敬の念が自分の中でうずまいた。

紅輝はただずっと泣きじゃくる白哉の頭を撫でていた。


あの時父は死んだと言っていたがそれは嘘だったのだ。は生きている。彼が生きているとなれば、きっと他の隊員たちも・・・・もちろんも・・・・

「白哉、行きましょう」

が白哉を呼んだ。白哉は立ち上がっての後を歩いていった。

だんだんと邸から離れていく。そして瀞霊廷の外れまで来てしまった。

白哉は不安そうにあたりを見渡す。

「本当にこんなところにいるの?」

「はい。あの方は大の死神嫌いですから」

そう言うと、は何もない空間に手のひらをかざした。

一瞬景色が揺らめいたかと思うと、その場に扉が姿を見せた。

「入りましょう。大丈夫、あの人達は絶対に拒絶はしませんから」

そのころ・・・・

「優姫、のことを何か知っていると言っていたな」

「知っているぞ」

優姫は扇で口元を隠しながら言った。思わず紅輝は身を乗り出す。

「・・・・やはり気になるか、の跡継ぎのことが・・・・・」

「・・・・・ならないと言ったら嘘になるだろうな」

「それはわらわとて同じじゃ。の跡継ぎのこと、わらわも可愛がっておったからの・・・」

優姫の瞳が細められた。何か懐かしむような表情になる。

「悪戯ばかりする二人の子供もおったかの・・・・・の・・・・あやつの妻はどうなった」

「あいつは当の昔に死んでいる。を愛しているだけだった」

優姫は胸元から薄い紙を取り出した。紅輝の瞳が丸くなる。

「まだ持っていたのか・・・・」

「何を言っておる。わらわたち四大貴族の当主となりうる者達にから与えられた大切なものじゃ」

「私もだ・・・・・たち零番隊が私たちを守るという誓約でもあったな」

「あぁ・・・・・」

優姫が手元の紙を開いた。そこにあったのは白い小さな花だった。

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