「隊長、」
が意識を失ったを抱えて、儀式の場から外へ出ると隊員たちが待っていた。は彼らに笑顔を見せる。
「こいつは無事に四神を継承した。いずれ香神家の当主になる」
歓声がわく。みな、嬉しそうだ。しかし悲しそうでもある。
「隊長・・・・・」
瞬輝と黒珱が前に進み出た。その二人の表情はいつになく固い。
「・・・・・大変です。私達零番隊が裏切った、と護廷十三隊に報告が・・・」
ざわり、とその場が静かになる。は小さく、そうか、と言っただけだった。そして目の前の隊員たちを見る。
「オレはこいつと朱音、香也を守る。お前達はどうする?」
「そんなの決まってる!俺たちは隊長についてきたんだ!!隊長を守る!!」
そんな声が聞こえ、その声に同意する声がさらにあがる。瞬輝と黒珱もうなづいた。
は笑った。
「ならば零番隊を守るためにオレと戦うか?死ぬかもしれないぞ」
「隊長!俺たちは隊長と戦って死ねるなら本望だ!!」
「戦いますよッ!私たちの使命です」
「隊長、我ら二人もあなたをお守りします」
瞬輝と黒珱が言った。は少し悲しげにその様子を見ながらも強くうなづく。
「瞬輝、黒珱は香也、朱音を。そのほかの者は隊舎へ。守りを固めろ」
隊員たちは瞬歩で掻き消える。瞬輝、黒珱も一礼すると消えた。
は腕の中のを強く抱きしめた。
「・・・・・・?」
その痛さにが目を開けた。はに向かって微笑む。
「何かあったの?」
「いや、何も・・・・・」
「・・・・胸騒ぎがする。もう二度と皆に会えないような・・・・」
は顔を暗くしたの頬をつねる。
「そんな顔すんなって、。笑ってろよ・・俺たちは死なないんだから」
「でも怖い。本当に皆大丈夫だよね?」
「たく。お前は疲れているんだな。家に帰ろう。それでゆっくり休むんだ」
「・・・・・・」
「心配ない。大丈夫だ」
は心配だった。ここで彼を止めなければ大事なものを全て失ってしまう、そんな感じがしていた。
「さっ家に到着vvゆっくり部屋で休んでろ。でも四神はそばにおいて置けよ」
「・・・・・どこに行くの?」
「隊員へ報告。が無事に四神を継承したことの」
「皆心配してたの?」
「あぁ、のことが好きだからな」
はやっと小さく笑う。
「そっか・・・・・」
「あぁ・・・・じゃぁゆっくり休んでろよ」
は部屋を出るとその周囲に結界を張る。二度と会えないことを考えながら。
悪いな、・・・さよならだ
の気配が消える。部屋の中ではがひざに顔をうずめて泣いていた。
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