「緊張しているのか?」
は傍らを歩くにたずねた。は首をふる。
「がいるから緊張してないよ」
「可愛い奴・・・・・それでこそだな」
「そう?」
はの顔を引き寄せ、口付けた。
の顔が真っ赤に染まる。
「お守り代わりに持っておけ」
「うん・・・」
時間は刻一刻と近づいてくる。の緊張は少しずつ膨らんでいった。
「・・・・・・なんだかいろんなことがありすぎて中々言い出せなかったけどさ・・・・・」
は明後日の方向を見ながら話し始めた。は首をかしげる。
「帯刀の儀が終わったら・・・オレと夫婦になって」
「・・・・・・・・・・・」
の突拍子もない発言には固まる。
「あ〜えっとさぁ・・・・そのやっぱダメ?」
苦笑いを浮かべながらの顔を見たはぎょっとした。
は泣いているのだった。
「ドッどうした?!他に好きなやつでもいたか?!」
「ちが・・・・・違うの。すごく嬉しくって・・・・・・」
は必死に涙を押し込みながら言った。
「うん・・・・私でよかったら」
「ばか・・・・・絶対良いに決まってるじゃん」
二人は笑いあう。
やがて帯刀の儀が始まった。は四神をに差し出す。は小刀で指を切り、その流れ出た血を四神へ垂らした。
「わが名は香神。汝らの新たなる主となるもの。我が命に従え、四神よ」
四神から四匹の獣が姿を見せる。青龍、白虎、朱雀、玄武。四匹の獣たちはの前に降り立つ。
“香神よ、我ら四匹お前と血の盟約を交わした。ならば我らはそれに従うのみ。我らが優先すべしは主の命。しかとこころ得た”
そういい、四神は姿を消す。は安堵のあまり、崩れるように倒れた。が慌てて駆け寄る。
「よくやったな」
「うん・・・・」
これで何があってもお前は無事だ・・・・・
は心うちでそう思い、強くを抱きしめた。強く強く抱きしめ続けた。
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