家に女の子供ができてから七年の月日が経った。今日は彼女の誕生日。魔法界の中で有名な者達が招待されていた。
その中には魔法省大臣の姿もある。
「たくさん人がいるなぁ・・・・」
そんな中きょろきょろと辺りを見回しているのは銀の髪を背中まで伸ばした少女―本日の主役、であった。
は今まで兄であるソルディア・とともにいたのだが、いつの間にかはぐれてしまっていた。
困ったは部屋の入り口近くへ向かう。扉のそばに寄りかかり、兄が来るのを待っていた。と、隣に退屈そうな顔をした少年が同じように寄りかかっているのに気がついた。
「ねぇ」
が声をかけると少年が振り向いた。と正反対の少年だった。漆黒の髪を持った少年の黒の双眸は冷たい光を宿して、リオンを見ている。が、そんなことおかまいなしにリオンは言葉を続けた。やっと見つけた同年代(っぽい)子なのだ。
「私はっていうの。あなたは?」
「・・・・・シリウス・ブラック」
少年はぶっきらぼうに言った。は嬉しかった。大人たちが多い中で同じ年子の子供は少ないのだ。
「ねぇあなたも招待されたんでしょう?少しお話しよう」
「何を」
「将来のこととか。ねっ?」
シリウスはの笑顔を見て、何も言わなかったが一つうなずいた。は彼を外へ引っ張っていく。着いた先は自分の部屋。
戸をあけると白銀の梟がとシリウスを見た。
「ただいま、パーティも暇だったから抜け出してきたの」
「お前の梟なのか?」
腕に梟をとまらせ、会話をするにシリウスが尋ねる。はシリウスのほうを向くと笑った。
「うん。シェルって名前なの。触る?大丈夫よ、シェルは大人しいから」
がシェルのほうをむくとシェルは翼を広げ、シリウスの頭にのった。梟の重さにシリウスの体が少し動いた。
「ねっ、大人しいでしょ」
「あぁ・・・」
はベッドに腰掛ける。自分の隣に手を置いて、シリウスを招きよせる。頭の上の梟が重いのか、シリウスは動けないでいるらしい。は笑い声をあげると梟を呼び戻した。
「ねぇ隣に来て。たくさんお話しよう」
シリウスはから少し離れたところに座った。
「ねぇシリウスも魔法使いになるんでしょう?」
「たぶん」
「ホグワーツに行くの?私、そこに行くの。シリウスは?」
「多分同じ」
「わぁ!嬉しいなぁ。同じ寮だともっと嬉しい!」
「・・・」
シリウスは次々に言葉を発するを煩わしそうに見た。元々望んでこの邸にきたわけじゃないのだ。
家といえば、魔法界の中でも上位に位置する一族。その一族と親しくなっておこうというのが狙いだったらしい。
「シリウス、大人になったらきっとかっこよくなるわ」
「はっ?」
「だってシリウス、今のままでもかっこいいもん。だからきっと大きくなったらもっとかっこよくなるの」
「じゃぁはもっと綺麗になるっていうのか?」
「・・・・・・・・・そうだったらいいね。そしたら私をシリウスの恋人にしてくれる?」
「別に」
は笑った。少しだけシリウスの顔が赤いのだ。
と外で足音がした。
、部屋にいるのかい?」
「お兄ちゃん」
部屋の戸をあけて金髪の頭がのぞいた。の兄、ソルディアだ。
ソルディアは部屋の中に入ってくると小さな客人を見た。
「ブラック家の子かい?お父さんが探していたよ。さぁ、広間にお戻り」
「お兄ちゃん、まだ私シリウスと話したい」
「ダメだ。さぁ、君は戻って」
ソルディアはシリウスを部屋から追い出した。は悲しそうに兄を見ている。
「お兄ちゃん・・・・・・」
・・・・・広間に戻ろう。父さんたちが探していたよ」
「やだ」
は兄に反抗した。今まで反抗しなかったが反抗したことに驚いたソルディアは目を見開く。
は泣いていた。
「なんでシリウスを帰しちゃったの?せっかく出来た友達だったのに」
・・」
「お兄ちゃんなんて嫌い!!出てってよ!!」
はソルディアを叩き始めた。小さいせいかあまり痛くはない。
ソルディアはしかたなしに部屋を出て行った。はベッドにうずくまり泣いていた。
それからどのくらいの時間が経っただろうか。
!」
は外から声をかけられ、窓を開けた。下を見ると闇の中にシリウスが立っていた。
「シリウス・・」
「オレ、もう帰らなきゃならない。でも絶対に会おう。ホグワーツで」
「・・・・・・・・・うん」
はうなずきながら、首にかけていたロザリオをはずす。それを下にいるシリウスにむかって落とした。
「これは・・・・?」
「再会したら私に会いに来て。そのときに渡して」
「・・・・あぁ」
シリウスはにむかって手を振る。も笑顔で手を振りかえした。
これが二人の一度目の別れであり、運命の道だった。

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