魔法界にある巨大な邸
そこには"記録者"と呼ばれる一族が住んでいた。
一族。美しい碧眼が特徴的だった。
現在の記録者は何代目かもうわからない。そして今、記録者たちは危機に面していた。記録者が死のうとしていたのだ。記録者が死んでは次の記録者は生まれ出でない。そうすると一族は滅亡することとなる。
別の場所では一族の者が赤ん坊を産もうとしていた。その子供が記録者としての目印、白銀の髪を持っていなければ、記録者は終わりだ。
今まさに死のうとしている記録者のベッドには一族の者達が集まっていた。
その中心、顔のそばに一人の金髪の少年がいた。
「おじい様、しっかりしてください」
「ソルディア・・・・・次に産まれてくるのはお前の妹であり、記録者となりうるものじゃ・・・・守るのだぞ」
「はい。絶対に」
「・・・・・・安心じゃ・・・・・・お前ならば妹を守れるであろう・・・・・」
フッと体から力が抜ける。ざわめきと動揺が広がった。
「おじい様!!」
それと同時に上から嬉しそうな声が聞こえてくる。部屋の中に召使が飛び込んできた。
「お、女のお子様のお誕生にございます。そして・・白銀の毛が!!」
わぁぁぁ、と歓声があがった。ひとまず記録者たちが滅ぶことは回避された。嬉しそうな話し声がする中で少年は悲しそうに死んだ祖父の手を握っていた。
「おじい様、僕は・・・・・必ず妹を守って見せます」
少年は一つの誓いを胸に二階へと走っていった。生まれたばかりの妹を見るために。
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