リドルの私に触れる手はとても優しかった。
まるで何かに対して謝るかのように・・・・

「リドル、今日の夜は何が食べたい?」
の作るものならなんだってかまわない」

初めて会ったときとは違う雰囲気が彼を取り巻いていた。私はどんどん彼に惹きつけられていく。

、ぼぉっとしていると怪我をするよ」
「あっごっごめんね・・・・・」

リドルの苦笑が背後で聞こえてきた。私は小さくむくれながら夜ご飯を作っていく。
そっと背後から回ってきた腕に私は抱きしめられた。

「リドル?」
「君っていい香りがするね、
「でしょ?」
「なんでだろ・・・・・・・すごく気持ちいい」
「うん、だってリドルに触れてもらいたいからね。もっと近寄って、もっと私に触れて、もっと私を感じてほしいから・・・・・」
・・・・」
「なぁんて・・・ちょっと恥ずかしいな」

クスッとリドルは笑って私の髪に触れた。
優しく耳を噛まれ、体が反応する。リドルは面白そうに笑っていた。
私は頬を膨らませてリドルを見た。リドルは指先で頬を押す。ブッと音がして、私たちは同時に噴出した。

「もうっ、リドルったら。ご飯が遅れるわよ?」
「それでも夜には君を食べられる」
「狼なんだから」
「男は皆そうなんだよ、
「・・・・・・そんなものなの?」
「そんなものなんだよ・・・・・・・・あっ、焦げてる!」
「えっあぁ!!どうしよう・・・・・・」
「食べるよ。の作ったものだしね。お腹壊しても君が看病してくれるんだろう?」
「私の責任だしね」

私たちはまた笑った。
リドルは本当に性格が丸くなった。始めて会ったときの刺々しさはなくなり、好青年へと変わった。
私に触れてくる手は冷たい。

は僕の手が冷たくてイヤじゃない?」
「なんで?」

いつものように肌を重ねたあとリドルはそう聞いてきた。
私はわけがわからずたずね返した。

「冷たいとなんだかさ、悪者みたい」
「そんなことないわ。火照った体にはすごく気持ちいいし。それに手が冷たい人は心が温かいんですって。リドルは心が温かいのよ」
「そんなこと・・・」
「私のこと信じてない?」
「信じてるよ」
「それでいいわ。あなたが私を信じて私がその話を信じているんだから」
、意味がわからない・・・・」
「いいのよ」

私が笑うとリドルもあきらめたように笑った。
それなのに唐突に私たちが過ごしてきた時間は終わりを告げた。
ある日のことだった。玄関のインターホンを押す音が聞こえ、私は客人をむかえるために玄関を出た。
扉を開けるとそこに立っていたのは銀髪の魔法使いだった。兄から話は聞いていた。今のホグワーツ魔法魔術学校の校長、アルバス・ダンブルドア、その人である。

「あの・・・・・何かご用でしょうか」
「・・・・・・・ここにトム・リドルはいるかの」
「リドルですか?えぇ、今はリビングにいると思いますよ。どうぞおあがりになってください」
「いや、いい。、お前に話しておかねばならぬことがある」

そして彼は私にとって、身を引き裂かれるような言葉を言った。私はを身をひるがえすと、リドルがいるはずのリビングへとむかった。

「リドルッ!」

きっと私の顔は青ざめていたのだろう。リドルが心配そうな顔で近寄ってきた。

「どうしたんだい、。ひどい・・・・・顔だよ」
「・・・・・・・お願い、嘘って言って・・・・・・・・・あなたが私の兄さんを殺しただなんてっ!!」

リドルは私の言葉にショックを受けたような顔をした。そう、本当だったのだ。ダンブルドアは、真実を言ったのだ。

「トム・リドルは、お前の兄を殺した張本人じゃ」

「リドル・・・・・嘘でしょう?優しいあなたがそんなことするはずないものね」
「・・・・・・・」
「お願い、リドル。嘘って言って・・・・お願い・・・・・」

私は泣き崩れた。リドルは私を優しく抱きしめてくれる。
そして耳元でそっと囁いた。

「ごめん・・・・・・今までありがとう、とても楽しかったよ・・・・・・・・・、僕はいつまでも君を愛してる」

そして私の体からリドルのぬくもりが消えた。顔を上げてもそこにリドルはいない。

「リドル・・・・・・・リドルッ!」

私はリビングで泣き叫んだ。ただ一人の愛しい人をまた失ったという悲しみを胸に抱いて・・・・・・

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