尸魂界 瀞霊廷の一番端にある隊舎にて一人の死神がデスクワークをしていた。
そこへ別の死神が難しい顔をして入ってくる。
「梓隊長」
「どうした」
「・・・・・・悪い知らせです」
梓と呼ばれた死神は手を止め、死神を見た。
「どうした」
「・・・・・・・・桜香が見つかりました・・・・・・」
「そうか・・・・・・」
「どうなさるのですか?」
梓は"極秘"と書かれた書類に眼をやる。
そこには一人の死神とその斬魄刀の詳細情報が書かれていた。
『斬魄刀・桜香 持ち主:鳳凰院紫苑』
「香神家に知らせろ。それから護廷十三隊にも」
「かしこまりました」
死神はすぐさま消えた。
梓は苦い顔をしてその書類を見た。
映っている死神はまだあどけなさを残している女だった。
「桜香・・・・・か」
彼の脳裏をよぎったのは、百年ほど前の『桜香』騒動だった。
既に桜香は先代隊長によって封印されていたはずだったが・・・・・・・
「隊長・・・・・・適当に封印しないでください・・・・・・」
手抜きとなれば、誰にもばれないようにやる。
先代隊長の悪い癖を思い出し、梓は悶絶した。
場所は変わり、上級貴族香神の邸
その一室で二人の死神が将棋をやっていた。
そこへ別の死神がやってくる。
「キオ様、零番隊から知らせが来ましたよ」
「私は既に隠居している」
「何を言っているんですか。かなりの一大事ですよ」
「・・・・・・・・桜香だな」
将棋をうっていた片方の死神が呟いた。やって来た死神はうなずく。
「やれやれ・・・・・・あいつらも少しは自分の力を信じろというのに・・・・・・・・」
「元はといえば誰のせいだと思っているんです。ちゃんと『桜香』を封じなかったあなたのせいでしょう。サボってきたツケが回ってきたんですよ」
「・・・・・・・・わかった。倖斗・・・・・・・死覇装の用意を」
「キオ様、やるんですね」
「そこまで言われては仕方ない。もう一度『桜香』を封印しようではないか」
「わかりました」
死神の姿が消える。クスリと小さく笑みを漏らし、キオと呼ばれた死神も姿を消した。