は目の前の青年を見ていた。ひどく冷たい光を宿した、どこか悲しげな青年を。
トム・リドル。彼の名前だった。
一目見たときから心奪われた。どこか自分と似たその青年に。
「リドル・・・・」
そっと冷たい手が自分の頬に当たる。それがひどく心地よかった。
あと少しか持たない自分の体。自分が死んだらこの人はまた独りぼっちになってしまう。
はそのことが辛かった。一人にはしたくないのに、この寂しげな人を置いてはいけないのに。
「ごめんなさい・・・・・・」
「ッ!」
辛そうな声が悲しい。
生きて、と伝えたくてもそれができない。体の力も入らず、あとはただ死に行くのみ。
「・・・・・・・・」
涙をこぼして私はあなたをおいていく。
あなたが悲しむことを知りながら、私は死んでいく。
あなたは私にたくさんのものをくれた。なのに・・・・・私はあなたに何が出来た?
あなたに何か残せた?あなたはこんな私のことが今でも好きですか?
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