美しい満月が夜空で光っていた。

様・・・・」

一人の青年がすっと屋根の上に上がってきた。

「なんだ?」

屋根の上に座っている女が振り向いた。

「明日はどうなさるおつもりですか?他の隊長に会うおつもりで?」

「そうしなければいけないだろう。山ジイがうるさいから」

「わかりました」

「紀洸・・・・・」

「はい?」

名前を呼ばれた青年―紀洸は降りようとしていた脚を止め、首を少し傾げた。

「あたしたちは光の世界へ出てもいいのか?」

紀洸は尋ねられた質問の意味を考えてみた。

「たぶん・・・・なんとも言えませんが」

「そうか・・・」

ふっと女は笑みを漏らした。

「それでは・・・おやすみなさいませ、様」

「あぁ」

紀洸の姿は消え、屋根の上には女だけが残った。

零番隊・・・その昔、護廷十三隊を裏切ろうとして、壊滅させられたという・・・・

が、今零番隊は動き始める。

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