「シリウスー」

「ん、どしたリオン」

「あっまた悪戯考えてる」

オレの手元を覗き込んだリオンは笑った。

「なんだよ」

「相変わらずね〜またスネイプ?」

「そう」

「ジェームズと一緒じゃないのね」

「あいつはエバンズを追いかけているから」

「そっか」

リオンはオレの隣に腰を下ろした。

木々の影がお前の顔で揺らめく。

しばらく二人だけの時を満喫していたがやがてお前の小さな声が静寂をやぶった。

「雨・・・・」

「えっ?!」

顔をあげれば空は曇り、小さな雨粒がぽつぽつと落ちてきていた。

「どっどうしよう・・・ともかく急いで戻ろう」

「あぁ」

二人して走り始めてまもなく。俺たちは城に着く前にびしょぬれになっていた。

雨足は強くなっていくばかりだ。仕方なしに大きな木の元で雨宿りすることになった。

「しゃーねーなぁ・・・・」

「だね・・・・」

リオンは灰色に染まった空を見上げながらため息をついていた。

しっとりと濡れた銀の髪。

「くしゅっ」

「ほら」

オレはローブを脱いでリオンの頭からかけてやった。

「シリウスも風邪ひくよ?」

「オレは平気だ」

リオンは少し考え込むように首をかしげてから、ローブをオレの頭にもかけた。

「これで一緒。シリウスも風邪ひいちゃだめだよ」

「はっ?」

「いっぱい心配されるでしょ?」

ニコッと笑ったリオンの頬に触れた。

「・・・・はやく、雨やむといいね」

リオンの顔をそらして言った。

「あっ小降りになってきた」

リオンはそういって笑った。

「授業はじまっちゃうよ。行こう、シリウス」

「あぁ・・・・・・・・・・・っと、リオン、空見てみろよ」

「うん?」

空を見たリオンはぱぁっと笑顔になった。

雲が晴れていく空には虹がかかっていた。

「綺麗だね!」

「あぁ・・・・・・・・」

今度はもう逃がさない。

「リオン・・・」

「うん?」

「恋人で虹を見ると永遠を約束されるって知ってるか?」

「そう・・・・なの?」

「あぁ」

リオンはオレを見て首をかしげる。

「ずっと、オレのそばにいてくれるだろう?リオン・・・・・・・」

「・・・・・・うん」

リオンは小さく笑って俺に口付けてきた。