銀の蝶
僕の手の中には一羽の銀色の蝶がいる。それは小さくて、本当に美しい羽根はちょっとの力ですぐに崩れそうで。でも・・だから愛しいのかもしれない。
「ジェームズ」
「やぁ。どうした?」
「あのね・・・・・・」
他愛ないおしゃべりで笑う彼女の名は・。
とても優しくてとても美しくて、そしてとても愛しい。
細く白い腕はほんの少しの力で折れそうなほどに弱々しい。
僕の大好きな少女だった。
「私、シリウスが好きなの。でもシリウスってすごい人気なのよね・・・・」
彼女は僕の親友のことが好きだった。でも彼女は僕の想いに気がつくことなく、親友を想っていた。
「・?あぁ、あの女子か・・・・・いんや、別になんとも想ってないけど?俺が好きなのはリオンだけだし」
「ジェームズはのことが好きなんだもんね」
「へぇじゃぁ手伝ってやろうか?」
「クリスマスパーティーで告白してみたら?」
「あぁ、そういやぁパーティのヤドリギのしたでキスしても文句は言われないらしいぜ」
「へぇ・・・・・」
僕はクリスマス・パーティのときに想いを伝えることに決めた。
そして当日のこと
「あっあの・・・・・・シリウス」
「ん?」
は淡い青のドレスを着ていた。シリウスのそばには銀色のドレスを着た同級生が立っている。
は真っ赤になりながら言葉をつむぐ。
一度でいいの・・・・・わ、私と踊ってください・・・・」
の言葉にシリウスはそばの同級生に小さく二言三言はなしかけた。彼女は笑顔でうなづく。
シリウスが手をに差し出した。
「どうぞ、姫」
「・・・・・・ありがとう」
とシリウスはダンスをしている生徒の中に入っていった。
シリウスのそばにいた生徒が寄ってくる。
「いいの?」
「なにが」
「シリウスがOKしても」
「アイツが好きなのは、お前だけだろ。この学校にいるやつなら誰でも知ってる」
「まっそうだけど」
彼女は2人を見た。二人ともダンスが上手い。
「ヤドリギがあの窓辺にあるって知ってた?ジェームズ」
「えっ・・・・・」
「ほら、あそこへうまぁくシリウスがを連れて行くからあとはなんとかしなさい」
「・・・・・・・・わかった」
僕はダンスをしている生徒をよけて、2人に気がつかれないように窓辺へ寄った。ここからだとセイの声が聞こえる。
「私・・・・・シリウスのことがずっと好きだった・・・・・」
「悪い・・・・俺はリオンが好きなんだ。だからその想いには答えられない」
「うん・・・・・・わかってる。でも・・・・」
セイはシリウスに口付けた。シリウスもこれは予想していたことではなかったらしく、目を白黒させている。
「私が・・シリウスのこと好きだったってこと忘れないでね?」
「・・・・・・・わかった。ほら、あいつが待っている」
が僕のほうをむいた。シリウスの手を離れ、僕の元に近寄ってくる。
「ジェームズ・・・・・・踊りましょう?」
「・・・・あぁ」
は失恋のショックなどないようだった。ニッコリと笑って僕と踊っている。
「・・・・」
「ん、なぁに?」
「・・・・・好きだ」
ちょうどヤドリギの下。僕はの腰を優しく引き寄せて口付けた。
は驚いたような眼で僕を見ていたが、やがてそっと眼を閉じた。
唇を離すと、は笑っている。
「うん、ジェームズの気持ち知っていたよ。ありがとう・・・・・・まだちょっとだけシリウスのことが好きな私だけどいい?」
「シリウスなんかには絶対とらせない・・・・・・・」
「・・・・・・わかった」
は僕に笑いかけると、もう一度口付けてきた。
これからの学校生活は最高のものになりそうだ。