あなたに会うために

何故髪を伸ばしているのかと聞かれたらこう答えることにしている


「〜置いてくよ」

「待ってよ〜」

髪の毛を縛りながらでは走りにくいのに・・・

友達は先に行ってしまう

私は慌ててあとを追った

「待って;;;・・・っ」

「あっ」

長い髪の毛が誰かに引っかかったらしく、痛みで私は引き戻された

振り向けば、一人の男子生徒のボタンに髪が絡みついている

「ごっごめんなさい!」

私は慌てて近寄るとボタンから髪をはずそうとした

でも慌てているせいでうまくボタンが外れない

「貸してみて。そんなにふうにやったら髪が痛むよ?」

そんな言葉が聞こえてきて、手が私の手にかかりそっとボタンからはずした

「そんなに乱暴にやったら、毛先が痛むよ。ねぇ、さん?」

「なっ・・」

顔を上げれば見知った顔。クラスメイトの永塚笑也くんだった

そうと知ったとたん顔が真っ赤になってしまう

「ふふっ」

笑也君は笑うと私の髪の毛を取り外しにかかる

「それにしてもさんの髪は長いね。なんでこんなに伸ばしてるの?」

「・・・・あのね、願い事をかけて髪の毛を伸ばしてると・・・・願いが叶うんだって」

「へぇ、それで・・・・」

「うん」

笑也くんは軽く笑っていた

私は何もいえなくなってうつむいてしまう

「ねぇさん・・・・」

「うん?」

「さんの願い事って?」

「・・・・・・・」

私は笑也くんの問いに答えられなかった

答えるわけにはいかない

「好きな人と話たい」だなんて

目の前に本人がいるのだから・・・・

こちらの一方的な片思いだし、これで振られたら恥ずかしいから

「願い事が叶ったら、髪の毛はきるの?」

「ううん。気に入っているから・・・・」

「そっか。じゃぁ平気だね」

「なに」

が、と言葉は続かなかった

なぜなら笑也くんがいきなり口付けてきたから

廊下で、たくさんの生徒が歩き去る中で・・・・

「なっ、永塚君・・・」

「笑也、またはえみでいいよ、」

「//////」

「好きだよ」

真っ赤になった私の顔を見て、えみは笑う

そして私は決めたのだ

何故髪を伸ばしているのか、と聞かれたらそれは

「えみに会うためだよね」

と答えると・・・・