君のそば
「こんばんは。ご指名ありがとうございます。太裳と申します」
貴方の爽やか笑顔に鼻血が……。(何とかくい止めたけど;)
彼との出会いはこんな感じだったのです。
「あ、太裳こんばんはー」
「こんばんは」
ここはホストクラブ月顛楼。
はじめてきたときはめっちゃ動揺した。(だって未成年が結構沢山…)
でも、はじめに指名した太裳。その人にすごく親切にされて…
笑顔にもやられましたっ!!
最高ですよ、もう……。
* * *
でも、最近少し不安になってきました。
「…ね、太裳」
「はい?」
――やっぱり私は、お客の一人でしかないんだろうか。
それは、やっぱり仕方ない事だと思う。太裳はホストだし。
それでも、………。
「どうかなさったんですか?」
「…っあ、ごめん、なんでもない」
うう…
顔を近付けられたら鼻血がっっ…!!!
「ほんと、なんでもない!大丈夫だからっ!!」
「そうですか」
なんでもなくないけど…。
「ごめん、やっぱ帰るね」
「え……?」
そう言って、店をでた。
「はぁ……馬鹿なことやっちゃったなぁ………」
* * *
一番初めに指名したのは彼だった。
『はじめまして様。太裳と申します』
太裳はすごく優しかった。
いろいろと教えてくれたし。
でも、優しいのは他の人たちにも同じ。
寂しかったのかもしれない。
自分だけじゃないって判って。
「どうしよう……」
「……さ…んっ!さん!!」
「太裳!?って、どうしたの!?」
「はあ……よかった、まだ近くにいて…」
なに!ナニガオコリマシタ!?
……もしかして
「…これも、営業……?」
太裳が少し驚いた顔をした。
「これも、ひとつのサービスなの?
私の事、やっぱり"お客"としか見てないの……?」
泣いて、言った。
「私はっ………太裳の事、好きなのにっ!!!」
重苦しい沈黙。
息苦しい静寂。
「答えて、くれないんだね…」
「………」
「……ぅ…ばか………」
はっきり言ってこの状況でこれを言うのは自分でも引けた。それに太裳頭いいし。
でも伝えなきゃ何も出来ないままだったと思う。
「……聞いてくれてありがとう。
もう、戻っていいよ」
そう言って、帰ろうと身体を翻した。
はずだった。
でもできない。
「太…裳……?」
「行かないで下さい」
彼が腕を掴んでいた。
どうして……。
「私はホストです。だから、こんな感情だめだと思ってました」
「……なに、言ってるの…?」
「でも、今は違います。貴方に告白されて、整理がつきました。
私も、が好きです」
「え………」
思考が停止しました。
「嘘ぉっ!!?」
「本当ですよ」
にっこりと、また微笑まれる。
「これからは、"あそこ"以外でもお付き合い願いますか?
…って、私が言ったらおかしいでしょうか」
「………ううん……これからも、お相手よろしくお願いします…っ……」
ずっと居たい
君の傍に
君の心と一緒に