ある日の悲惨な事件
は冥府第一羅殿につながる扉は思いっきりあけた。中にいた燎流がいぶかしげな顔をしてを見た。
「篁はどこ・・・・・」
「篁?さて、私も見ていないな」
「あのやろう・・・・・」
「なにがあった?」
の眼光に僅かながら燎流は一歩ばかりあとずさってしまう。
は鼻をふんとならすと、腕を組んで仁王立ちした。
「篁のせいで、騰蛇と青龍の体が入れ替わったのよ」
「ほう・・・・それはそれは」
「つーか、探しに行ってくる」
は足音荒く出て行く。燎流はそんなの後姿を見て苦笑した。
「よかれと思ってやったことなんだろうけど、彼女はわかってないみたいだね」
「ふん。に色目を使うからだ」
「篁・・・・・」
使ってないよ、と燎流は突っ込むべきだったのだろうが、このときの篁は何も聴いてはいない。
軽く溜息をついて仕事を再開させる。
「簡単に解けるものだろう?」
「いや。あと一月はそのままだ」
思わず燎流は目の前に倒れてしまった。
本当、愛孫=のこととなるとおかしくなる篁である。
軽く咳払いをして燎流はを向いた。
「篁、即行で元に戻してきなさい」
「誰が」
「にお前がやったのだと伝えて欲しくなければ」
篁は軽く舌打ちすると、指を軽く鳴らした。
「これで元に戻ったはずだ」
「ただいま」
「・・・・・どうでしたか?」
「じい様は見つからなかった・・・・」
「・・・・まぁ、それでは」
「うん、戻し方がわからな」
ポンッ
気の抜けたような音がして騰蛇と青龍の体が煙に包まれた。
やがて煙が晴れると二人とも元の姿に戻っている。
「解かれたようですね」
「よかったぁ・・・・・・」
ほっとしたの足元で昌浩が小さく声をあげた。
元に戻った騰蛇が昌浩を抱え起こす。
「大丈夫か、昌浩」
「う、ん・・・・・」
目を開けた昌浩は自分を騰蛇が抱え起こしていると知って仰天。
もう二人とも元に戻っているというのに、それがわからず混乱している。
「放っておこう。、お茶飲みたい」
「わかりました。すぐに淹れますわ」
とは混乱している昌浩をその場に残して部屋に戻って行ったのであった。
*後日談*
「結局じい様だったわけね」
「あぁ」
は事の顛末を燎流から聴いて溜息をついた。
そしてそのあとは一月ばかり篁と口を利かなかったという・・・・・
(終わり・・・・?)