想いよ届け
は顔をあげた。
屋根の上に気配が一つおりる。
「太裳?」
その言葉に反応して十二神将の一人、太裳が姿を見せる。紫苑の瞳が優しくを見つめていた。
「どうしたの?」
「様こそ。晴明様がこんな寒い中どこにおられるのかと心配しておりましたよ」
「星を見ているの」
「星?」
太裳は不思議そうに首をかしげた。
「うん」
は空を見上げる。
「彰子姫に聞いたの。星に願うときっととどくからって」
「何がですか?」
「好きな人への想いよ」
は星から太裳へ視線を移した。太裳は雪花を見返す。
「私から・・・・・・・太裳への思い」
太裳は小さく笑うとの隣に腰をおろした。
「では私も祈りましょう。大切な人へこの気持ちを伝えることができるようにと」
「太裳にも好きな人が?」
「えぇ。でも・・・・・神将と人では生きる年の長さが違いますから」
「・・・・・」
は無言で太裳の肩に頭を乗せた。
「様?」
「・・・・・・・きっと届くよ・・・・星はそんなに意地悪じゃないもん」
「・・・・えぇ」
太裳は優しくの髪をすいた。は気持ちよさそうに眼を閉じる。
「様、あなたの気持ち、とても嬉しいのです」
「えっ?」
は驚いたように顔をあげる。太裳は笑っている。
「私の大切な方というのが様ですから」
はあまりのことに何も言えず、ただただ口をパクパクさせているだけだった。
太裳は頬にかかる髪を軽くはらってやった。
「様が幼い頃からずっと星を見て祈っていました。いつかこの可愛らしい方と結ばれたら、と思って」
「・・・・・・・・・」
「どうやらちゃんと願いを叶えてくれたようですね」
の顔が暗闇の中でもわかるほど赤くなった。
「私・・・・・いいの?私なんかで・・・・・・・」
「様がいいんです」
「・・・・・・・・じゃぁ様つけて呼ばないで・・・・・両思いなんだし・・・・・・」
「そうしたら嬉しさのあまり倒れませんか?」
「そっそんなことないもんっ!!」
が太裳を見ると必死に笑いをこらえているではないか。
「か・・・・・・・からかったの?!」
「いいえ・・・・あなたが面白くって・・・・」
「・・・・・・・・・太裳」
「はい?」
「・・・・・・せ・・・って呼んで・・・・」
「・・・・どうしました、」
「////////」
「ほらやっぱり照れた」
が言葉に詰まると太裳はからかうように笑う。
「だって・・・・・・まさか本当に太裳が・・・・・・」
「嘘はつきませんよ」
「わかってる」
は太裳を見ると笑った。
「でも嬉しい。太裳も私のことを・・・・・」
は言葉を最後まで言わなかった。否、言えなかったのだ。
は太裳の腕の中にいた。
「た・・・・太裳?!」
「はい?」
「な、なんでこんなことになっているのかな?」
「私がのことを好きだからでしょう」
「太裳!!」
「はい?」
太裳は微笑んでを見ている。
「恥ずかしいっ!!」
「それはそれは」
は顔を真っ赤に染めて太裳を見た。太裳は小さく首をかしげた。
ふいに太裳の頬に柔らかいものがあたった。が太裳の頬に口付けたのだ。
「好き・・・・・・・・」
「・・・・・・よく出来ましたね」
「からかわないでよぉ!!」
2人の下にいる昌浩と騰蛇、晴明は会話を聞きながら苦笑していた。