白だけど黒
はこの安倍家に居候し始め、物心ついたときから十二神将と関わっていた。
なんとなくその特徴ある彼らのことを観察していた。それをまとめたのがこの話である。
って・・・・・・語り部はオレか?(語り部:螢斗)

はなんとなく太裳の考えていることが読めなかった。
何故だかは知らないが、どうしても・・・・・・・なんだかどうしても・・・・・好きにはなれないのだ。
に聞いても笑顔で、太裳のことは大好きです、と答える。
「何を考えているんですか、?」
「別になんだっていいじゃない。あなたには関係ないことでしょう?」
「嘘つき。私のことを考えていたくせに」
笑顔は何も言わなければ本当に見とれてしまうほどに美しい。でも、でもでもでも・・・・・・・性格は果てしなく黒い。恐らくの上司よりも黒いのではないだろうか、と思う。
「考えが顔に出ていますよ」
「太裳・・・・・自分が腹黒ってこと自覚している?」
「残念ながらありません」
「あっそ・・・・・」
自覚しているわけないか、と思う。というか自覚しているほうが奇跡だ。
この十二神将の中で一番腹黒い太裳が・・・・・
・・・・あら、太裳もいたのですか。では私はお邪魔のようですね」
「えっいや、ちょっと雪菜さん?なんのこと・・・・・・・・」
姫?いかがなされましたか」
「少しに用があったのですが・・・・・別にたいしたことないのです。またあとできますね、紫」
「行かないで〜〜〜」
はニッコリと微笑んで部屋から出て行く。どうやら太裳と愛を囁いて(寒気がしてくる)いると思ったらしい。ひどい誤解だ。は重い溜息をついた。
「別に私はあなたのこと嫌いではありませんよ」
「それはどうも。私もあなたのその黒い性格だけなかったら大好きよ」
ニッコリと笑いながら言った太裳にも笑顔で答える。
すっと太裳の手が伸ばされ、の体を抱きしめた。あまりそういうことに慣れてない(自分からはするが)は硬直した。
「あなたのこと、好きなのに・・・・・」
「・・・・・・・・」
の背を氷塊が滑り落ちていった。太裳の手が離される。
はいまだ硬直したままであった。
「忘れないでくださいね。隙あらばあなたのその唇、奪わせていただきます」
「えっ唇だけ?!」
「そのほかも奪ってほしいですか?」
「いえ結構です・・・・・」
がそう言うと太裳の姿が消える。穏行して晴明のもとへむかったのだろう。はほっと一安心し、座り込んだ。
やはり太裳は黒いらしい。十三年もここに居候していて気がつかないとは・・・・・
「これからが思いやられるなぁ・・・・・・」
小さく呟いたは戸口のところでクスクスと笑いをかみ殺すを見つけて真っ赤になった。

結論
太裳はやっぱり黒い。
あんまり近づかないほうが無難(寒気が・・・・)