不安と誤解
レイは鳥たちが騒がしいことに気がついた。胸に不安がよぎる。
「・・・・」
行方不明になってから早数日が過ぎようとしている。
のの力はレイもわかっている。
わかってはいるのだが、不安で仕方がない。
「皆でを探してくれませんか」
鳥たちはレイの言葉を聞こうとしない。
それどころか、レイに攻撃してきた。
とっさのことに反応できなかったレイの視界がふさがれる。
「お前たちの長は誰だ。レイだろう」
懐かしく感じる声にレイは目を見開いた。
「・・・・」
鳥たちはの言葉にだんだんと平常心を取り戻していく。は鳥たちの背を撫でていた。
「不安だったんだよな・・・」
レイはに近づいた。
「・・・・ですよね」
「レイ・・・」
はレイを見た瞬間頬を朱に染めた。
紛れもないだ。
「・・・・・心配したんですよ。何も言わず、いなくなってしまうから」
「ごめん」
レイはに飛びついた。は腕の中で震えるレイを抱き締めた。
「ごめん、レイ・・いっぱい心配かけたな」
「本当に・・・・どれだけ心配したかと」
「やつれてる」
「あなたがいなくなってから不安だったんですよ」
はレイに幾度も口付けた。
だんだんと深くなってくるそれにレイは頭の芯がぼぉっとしてくるのを感じる。
「想ったより魔物が強くててこずった」
「はっ、魔物?」
「レイ・・ユウラ様から何も聞いてない?」
レイはうなずく。
は溜息をついた。
レイには理由を話しておくといったのはユウラだ。
「ユウラ様に下界の魔物退治を命じられたんだ」
「それで天界にいなかったのですか」
「あぁ」
レイはほっと息をついた。
なんだか疲れてしまった。
が心配そうな顔でレイを見ている。
彼を安心させるためにもレイは微笑んだ。
「ともかく怪我はないようで安心しました」
「ん」
「これからすぐに帰りますか」
「いや」
は首を振ってレイを見た。
「これからレイとデート」
レイはうなずいて、に腕をからめる。
「心配した分しっかり返してもらいますから」
は小さく笑声をこぼすとレイにささやいた。
「俺も。下界にいた分、レイに返してもらうからな」
レイとは互いに笑いあうとどちらからともなく口付けあったのであった。