誓い
キミは優しすぎる
そして臆病なんだね

が言った、一番心の奥に残る言葉だ。

だから僕がキミを守る

・・・・あなたが私の代わりに死んでは意味がない」

パンドラは腕に書き抱いたの身体を抱き締めた。
温度というものを感じられない身体だ。
血に濡れたの頬にパンドラの涙がこぼれる。

・・・・・・・・・・なんであなたが死ぬんですか」

守るよ、パンドラ。キミのことを

「守ってなんかほしくなかった。あなたを失うくらいなら私が死んだほうがよかったのに」

パンドラの言葉はに届かない。

「パンドラ殿っ!」
「カサンドラ・・・?」

振り向けば、カサンドラを先頭に神官たちがかけてくる。
カサンドラはパンドラの腕の中にあるの身体にぎょっとしたようだったが、パンドラの腕をつかむと無理やり立たせた。

「早くユウラ様のもとに」
は」
「っ・・・・はもう死んでいるのですよ?!そんなこともわからないんですか」
は死んでいる・・・?」
も死にました。でも悲しんでもいられないということはわかっているでしょう
・・・カサンドラがユウラから世話を命じられた天使のはずだ。
カサンドラと仲が良くて・・・

「辛くはないのですか?」
「っっ辛いに決まっているでしょう!戦うことができなかった私をかばって死んだのです。辛くないほうがおかしい」

パンドラの瞳から涙がこぼれた。
パンドラをかばって命を落とした・・・・
昔守ると誓ったから。

「わかったのなら立ってください。の命を無駄にするんですか?」

パンドラはうなずいて立ち上がった。
そして神官たちに支えられながら、その場から去った。
かさっと音がする。地面に倒れたままのに近づくものがいた。

「ご苦労様です、

死んだはずのが起き上がった。ユウラに目をむけて小さく微笑む。

「中々の演技だとは想いませんか」
「さらっと騙すあたり、私と同じですね」

は苦笑してユウラを見た。
ユウラはその視線を受けて首をかしげる。

「ユウラ様、ご迷惑をおかけしました」
「いいえ。あなたは私の可愛い子供でしょう?」

助けるのは当たり前ということだ。
いつもそうだ。ユウラは深くまで聞かない。
だから自分たちがついていけるのだ。

「さぁ行きましょう」

はうなずいた。
これから神に戦いを挑むのだ。
だから神官であるパンドラがいては邪魔になる。
そして何より、自身、パンドラを守りきる自信がなかったのだ。

・・・後悔しているのなら」
「いえ、後悔などしておりません」

するはずもない。
決めたことだ。
神を倒して、ユウラとともに神官を解放する。

「後悔などありませんから」

嘘だ。本当は少しだけ、あと少しだけパンドラといたかった。
やっと想いが通じたと思ったのに。
は昔誓ったことを忘れない。自らに刻みこんだ、たった一つの誓い。

「こんなに弱い僕がいても仕方ないから」

守れないよね。
キミを守るといいながら傷つけた。
弱い僕がいても仕方がない。
ならば、せめて一番安全な場所にいて。
強くなったら、必ず迎えに行くから。