セイント学園物語 寒い夜
はゆっくりと身を起こした。眠れない。
隣を見れば、ベッドから半ばずり落ちかける格好でが寝ている。
は苦笑して、ラキをベッドに戻してやった。
そして肩掛けを羽織ると、音を立てないように部屋の外へ出た。

「寒いですね・・・・・」

は自分の白い息を見ながら小さく呟いた。
部屋に戻ってカーディガンでも持ってこようと考えたが、もう一度部屋に戻ったら今度こそ部屋から出れなくなってしまう。
は寮の屋上へとむかった。
同じころ、ユダも起きていた。同室のシヴァの寝言がいやに大きいのだ。
彼も部屋から出ると屋上へとむかった。
ユダは屋上の鍵が開いていることに気がつく。鍵を持っているのは寮長のパンドラと、ユダだけだ。

「・・・・・・・
「ユダ・・・」

薄い肩掛けを一枚羽織っただけのがユダを見ていた。
寒そうだ。
ユダはの隣に腰をおろす。

「何をしていたんだ?」
「眠れなかったので、星を見てました」

あなたは?とがたずね返してくる。ユダは言葉を濁して答えた。

「それよりも、寒くはないのか」
「・・・・・ちょっとだけ。でも部屋に戻ったらそのまま出なさそうだったので」
「まったく・・・それで風邪を引いたら話にならないな」

ユダは羽織っていたカーディガンをの肩にかける。

「あなたは?ユダ」
「俺は平気だ」
「・・・・」

はユダの顔を見てから、ぴたりと寄り添った。
ほのかなぬくもりが触れ合う部分から伝わってくる。

「こうしていたほうが暖かいでしょう」
「・・・・あぁ」

ユダはの肩に腕を回して抱き寄せた。
二人で空を見上げる。
遮るものがなにもない屋上からは、星空が良く見える。

「綺麗ですね」
「あぁ」

二人はしばらく無言で空を見ていた。
やがて、の頭がずるりとすべってユダの膝に落ちる。
顔をのぞきこむとはかすかな寝息を立てていた。
ユダは苦笑しての身体を抱き上げる。は小さく身じろいだかと思うと、ユダの服をつかむ。

「やれやれ・・・・」

ユダはの額に唇を落とした。

「疲れさせてすまないな、・・・・・」

部屋まで連れていき、ベッドにおろしてもの手はユダの服から離れない。

「そのまま一緒に寝てかまわないぜ」

背後からの声がした。ユダは振り向いていいのか、と確認する。
はうなずいて自分のベッドにもぐりこんでいった。
ユダはの顔を見てから小さく微笑んだ。

「今日だけは特別だな・・・・」

のベッドに一緒にもぐりこむと、その細い身体を抱き締めてユダは眠りに落ちたのであった。