ケダモノジゴロ
「、私はホストなどに興味ないと言っているでしょう」「まぁいいから行ってみようよ、もきっと気に入るって」
「私のことは放っておいてください・・・・」
「私の親父がやってるとこでさ、今日はが来るから貸し切りにしてくれてるんだって」
銀髪の天使は小さな溜息をこぼした。友人に家から引きずりだされてやってきたのは、彼女の父親が経営するホストクラブだ。
かなりの有名なホストクラブらしい。的にはホストなど気にもかけないのだ。ただ一人だけを愛しているから。
「〜トリップ中のところ悪いんだけど、ついたよ」
見上げれば立派なクラブである。自分がここにいるのが場違いに思えてならない。
「さぁ行こう!」
友人のはそんなこと気にもかけず、ぐいぐいとの手を引っ張っていく。
「いらっしゃいませ、様」
「うわ・・・・」
キラキラである。は思わず目をおおってしまった。
「お待ちしておりました、さぁこちらへ」
とは別々のテーブルへと案内される。は困ったようにを見た。
は既に何人かを呼んでいる。は自分も呼ばなければいけないのかと思ってしまった。
ふと、見慣れた姿が見えたような気がして顔をあげる。
「あっ・・・・」
「っ、?!」
相手のほうもに気がついたらしく、驚いた顔である。
「なっなんで、いるの?!ユダ!!」
「あれぇ?ユダと、知り合い?あっそっか、恋人同士か」
「なんで、こんなとこに?」
は驚いて、駆け寄ってきたユダにはたずねた。
「お前こそ・・・・いや、俺は」
「ユダは恋人へのプレゼントを買うためにお金を貯めているんだ。これが一番手っ取り早い方法だからな」
やっていたのは銀色の髪を一つにしばった青年である。
「はじめまして、ルカという」
「はじめまして。あの、どういうことですか」
「ルカ、余計なことを!!」
「、どうする?」
「いいよ〜教えても」
「わかった。実はユダが来たのは一週間ほど前からだったんだ。恋人へのプレゼントを買うお金がないから、働かせて欲しいと。マスターがそれを了承したからな。このところ一番の指名はユダだ」
の瞳がユダにむいた。ユダは真っ赤になってから顔をそらしている。
「ユダがいやなら今夜は俺が相手しよう」
「ルカ、抜け駆けはずるいですよ。彼女は私が相手をするって決めていたんです」
「いいえ、ボクですよ。さん、ボクが相手をしましょう」
は困ったような顔をしてを見るが、は既に何人かのホストと話していて完全にユウラのことは無視である。
「あの・・」
「いい、俺が相手をする。ルカ、すまないが残ってくれないか?」
「わかった。ほら、残りは散った散った」
不満そうにホストたちはばらけていく。の両隣にルカとユダが座った。
「すまないな、困っただろう?」
「うん」
「ルカは俺の一番の親友なんだ。だから、信頼できる」
「あっそれは私も思いました」
ルカは軽く苦笑しての体を引き寄せると、頬に口付けた。の顔が真っ赤になる。
「彼女の反応を見るとキスもまだみたいだな、ユダ」
「ルカッ!」
「まったく。早くしないと他の誰かにとられるぞ?」
ユダはの手を引いて店の外に出てしまう。苦笑気味のルカの首に後ろから腕が回ってきた。
「ひどいわね、ルカ。は純粋な子なのよ。苛めたらだめじゃない」
「ユダが恐ろしく鈍く見えたからな。あぁいうの放っておけないから」
「本当、ルカ優しいのね。でも、絶対にそういうの他の女に見せちゃダメよ?あなたは私のものなんだから」
の言葉にルカは笑みを浮かべた。
「Yes,master」
「ユダ、痛いです」
「あぁすまない」
店を出たところでユダはの腕を離した。は不安そうにユダを見た。
「ユダ・・・」
「にナイショにしておきたかったんだ」
「えっ」
「もう少しで誕生日だろう。だから、何か贈ってやりたくて。お前の喜びそうなものを見つけたんだが、今の俺じゃ手が出せなかったから」
「ねぇ、ユダ」
「?」
「私はユダがいてくれればいいんです。高い贈り物とか、そういうのあまり気にしません。だから・・・ユダ、私のそばにいてください」
「ユウラ・・・・」
は小さな笑みを浮かべた。ユダは彼女を抱き寄せ、唇を落とす。
「愛している、」
「私もですよ」
ユダはの頬に触れ、何度も口付けた。
「ユダ・・・・やんっ」
「、待っていろ。すぐに、お前は俺のものになる」
「ユダ?」
「もう、逃がしてやらないからな?」
ユダの微笑みに、は顔を赤らめてうなずいたのであった。