セイントファイブ
「鳳司令官」
か、どうした」
は?」
「任務。お前少しは動いたらどうだ」
「俺は隠し玉なんだろ」

はそう言ってルカの手元を覗き込んだ。

からの情報?何が書いてあるんだ」
「ゼウス教団の趣味の悪さと変態の確立だそうだ」

は先ほどからルカが暗い顔をしているわけに気が告いだ。どうやらの情報がダメだったらしい。

「諜報はマヤの担当のだろう?」
それが昨日のスギナミエリアでの戦いで木にされてからまだ回復してなくてな」

は納得のいった顔でうなずいた。
そういえばそういうこともあった。

は戻ってくるのか」
「いや」
「任務はもう終わりじゃないのか」

ルカは首を振った。まだ終わりではないらしい。
とそのとき、ピーッピーッと高い音が鳴った。

「またきたのか。って、パンドラじゃないな。珍しい」

ルカは立ち上がって無線の手に取る。

「またスギナミエリアだ」

ルカはそう言って無線を切るとを見た。

「今回は私も出る。お前はここにいろ」
「了解」

はどうしたものかと溜息をついていた。
変態獣シヴァは暴れている。というか先週もこいつが暴れていなかった。

「クローンとか冗談じゃないですよ」

本当に冗談じゃない。
はゼウス教団の味方になって内側から攻めろと命じられた。それは別にいい。
ルカ司令官のことは信じられる。

「でも情事の相手までさせられるとはさすがのルカ司令もわからなかったでしょうね」

重い溜息が口をつく。さっさとセイント・ファイブにきてもらわなければ。
と、お決まりのメロディーが流れ、セイントファイブが現れる。
は彼らに姿を見せた。

「なっ、?!」
「こんにちは、セイント・ファイブ。できれば私のスムーズな任務遂行のためにこれを倒してはもらえませんか」

セイント・ファイブは混乱している。というかルカ司令・・・私がこちらに来ていることを伝えていないのか・・・・とは静かに想った。
これでは敵扱いだ。

「そうか・・・は俺たちを裏切っていたんだな」

こんな風に・・・・

「冗談じゃない。ずっと信じていたのに」
「あーはいはい。この変態獣を倒してくれたらなんだって話してあげますよ」

はそう言って相手というか味方なのだが、セイント・ファイブをあおる。
次の瞬間には攻撃がはじまっていた。はそれを交わしながらふと想う。
もしかしてこの攻撃は自分にむかっているのではないか、と。
考え事をしていたの足が滑った。

「きゃっ」

体勢を崩したをセイントブルーの攻撃が襲う。
目を閉じたを攻撃が襲うことはなかった。
目をあげたは漆黒の瞳を見た。

「怪我はないか」
「はい・・・・あの、あなたは?」
「通りすがりのものだ」

細い指先がそっとの頬を撫でていく。はほのかに頬を染めた。

「無茶をするな。不安になる」
「あっ、あの・・・・あなたのお名前は」
「ルシファーという。私はいつだってお前を見ている・・・

優しい口付けとともに言われ、は顔が熱くなるのを感じた。
ルシファーは呆然としているを置いてシヴァに手を向ける。

「何を・・・」
「そこにいろ」

ルシファーがそう言うとともにシヴァが爆発した。

『シヴァ・・・・どこまでも不憫な』

がそう思って涙を流したことは秘密である。

「これでいい」

ルシファーはを見る。漆黒の瞳はを捕らえて放さない。は心が縛られていくのを感じた。

「無茶はやめておくことだ。そうでないと私はお前を仲間達のところから攫ってしまう」
「あっ・・・・」

が何か言う前にルシファーは姿を消してしまう。
それと同時にルカ司令が現れた。どうやらセイント・ファイブに今回のことを話しているらしい。
これで一応の任務は終わりだ。
だがはあのルシファーと名乗った青年のことが気になって仕方がない。

「また会えるでしょうか」

そっと口付けられた唇に手をやる。そこだけが熱いような気がしていた。

、帰るぞ」
「あっはい」

は仲間達の下へむかう。きっとこの仲間たちといれば、また会える。はそんな感じがしていたのであった。