あなたに会えたから
友人で恩師でもあるユウラからある天使の世話を受けた。
その天使の名は風雪のといって名前の通り風と雪を操る。

「私にはあまり関係ないのですがね」

カサンドラはそうぼやきつつ、が寝起きしている部屋へと足を運ぶ。

、起きて・・・・」

カサンドラは部屋の戸を開けたまま硬直してしまった。窓際に置かれた寝台の腕で上半身を起こしているのはである。
日の光に照らされて神々しく見えるが、何も着ていない。

!!」

はぽやんとした瞳をカサンドラにむけている。

「あっカサンドラ、おはよう」

は部屋に来たのがカサンドラだと理解したのか、小さく首をかしげてそう言った。

「早いね。もう朝?」
「もう朝?ではないでしょう。日の光がわかりませんか、

カサンドラは再度溜息をつく。

、あなたはまだ神官としての自覚を持っていないようですね」
「なりたくてなったわけじゃないから」

は白い瞳をカサンドラへむけて微笑した。
「でもユウラ様には感謝しなくちゃ」
「神官にはなりたくなかったんじゃないですか」
「違う。こうしてカサンドラに会えたから」

カサンドラは軽く目を瞠った。
は寝台から降りると服を着始める。

「私はカサンドラだけのものだよ」
・・」
「体はゼウス様のものでも、心はカサンドラのものだから」

カサンドラは小さく息をついた。背中をむけて着替えるに近づく。
そして背後からその華奢な体を抱き締めた。

「かわいいことを言ってくれますね」
「カサンドラ?」
「そう思うのは私の心があなたのものだからですよ、
「本当?」

は顔だけをカサンドラにむけた。カサンドラはうなずく。

「私のほうこそユウラ様に感謝すべきですね」

カサンドラの小さな呟きはには届いていない。

「さぁ、、早く着替えて下さい。いそがないと 遅れてしまいますよ」

は嬉しそうな笑顔になるとうなずいた。
カサンドラはその頬に唇を落としたのであった。