セイント学園物語 結構よくある日常

「・・・・」
ってば」
「・・・・・なんの用ですか、
「ルカしらね?」
「知るわけないでしょう」
「なに怒ってるの」
「別に」

は書類にハンコを押すとを見上げた。

「ルカの居場所よりも生徒会長の居場所を知りたいものですね。あなたの恋人のところに入り浸っているのではないですか」
「そりゃない」
「断言ありがとうございます」

はそう言ってにっこりと微笑むと再度書類に目を通し始めた。生徒会長のユダが消えて早二時間が経過した。
ユダが出るはずの会議にもが出て、ちなみに風紀委員長であるルカが行方不明の風紀委員はが出た。

「・・・・・」
「二人ともどこに行ったんだろうな」
「さぁ」

二人が黙って静かになって直後のことである。
廊下でどたばたと音がした。ついにの堪忍袋の尾が切れる。

「廊下で騒がないっっ!」
「わっ、?!」
「ガイにマヤ・・・・なにしてるんですか」
「いや、ちょっとな」
「ねっ」

は顔を見合わせる二人を見て溜息をついた。余計な仕事が増やされたようだ。

「ゼウス先生に今すぐ謝ってらっしゃい」
「えっ」
「えっ、ではありません。どうせゼウス先生に悪戯でもしてきたのでしょう。怒られる前に謝っておくことをおすすめしますよ」

マヤとガイはの顔を見て脅えたようにうなずいた。笑顔ではあるが、どこか反論を許さないといった光が宿っている。
かたわらで見ていたは二人を哀れに思った。ユダがいないせいでは荒れているのである。

も大変だなぁ・・・・・でも、ま一番大変なのはユダか」

あらぶるを止められるのは、ユダだけ(かもしれない)。
ゼウス先生でも無理か、とは考えた。
とそこへ書類をたくさん抱えたユダとルカがやってきた。
の瞳がキランと光るのをは見た。

「ユダ・・・・ルカ・・・・・あなたたち今までどこに行っていたんです」

笑顔のに二人は僅かに引いた。
というか思いっきり逃げ腰である。

「確か代表委員会があったはずですよね。それを生徒会長であるユダと風紀委員長であるルカが欠席、しかも無断とはどういうことですか?」

笑顔が綺麗だ。あまりにも綺麗過ぎるからは眼をそらしてしまった。

「では、しっかりと仕事をしてもらいますね。それとマヤ、ガイ」

の瞳がユダとルカにむいた瞬間にマヤとガイは逃げようとしていたが、は逃がしはしなかった。

「はやくゼウス先生に謝ってらっしゃい」
「・・・・・・はい」

恐らくこの学園の支配者はユダではなく、ではないのだろうか、とマジメに考えたであった。
ちなみに、の怒りがおさまったのは、それから数日後のことだったという。