誤解
「ん、やっ・・ルカっ」「少しは我慢しろ、」
「ダメですっ・・・・きゃんっ!?」
天空城の一室からそんな声が聞こえていた。
部屋の外にいる者達はなにをしているんだ、と気になって仕方がない。
とくにレイは・・・・
「とルカ・・・・・いったいなにをして」
「それは・・・・・」
ゴウやシン、ガイは顔を見合わせる。
の声を聞けばわかることだ。
「・・・・・・もう我慢できません!」
「レイッ?!」
ゴウたちが止める間も無く、レイは部屋に踏み込んでいた。
「、ルカ!いったい何をしているんですか!!」
「レ・・・・・イ?」
荒く息をつきながらレイを見たのは半裸のである。
うつぶせに横たわり、首だけをレイのほうへむけている。
そんなに覆いかぶさるようにしてルカがいた。
「・・・・・ルカ・・・・・」
「レイ・・・・・」
レイとルカは互いに固まって動かなかった。
そこへ隣室のドアが開きユダが入ってくる。手にビンを持っていた。
ユダは固まっている状況を見ると首を傾げたが、何も言わずのそばに近寄る。
「調子はどうだ?」
「・・・・・ユダ」
「まだ少し赤いな。言われたとおりのものを持ってきた。塗ってやろうか?」
「お願いします」
ユダはうなずくと、ビンのふたを開け、中の物をの背に垂らした。
ルカはそれを見ると、の背全体に薄く伸ばして行く。
はほぉっと息をついた。
「どうだ?」
「よくなってきました・・・・気持ちいいです」
はすぐにうとうとしはじめた。
ユダが背に触れるとびくりと体を震わせた。そして涙目でユダを見上げる。
「痛かったか?」
「少し・・・・」
「それはすまない。・・・・・シンとレイはどうした?」
ユダは部屋に残っているゴウとガイにたずねた。
二人とも少し困ったような顔である。
「怒って出ていっちまったぜ」
「何故だ?怒る理由がわからない」
「・・・・・・」
ゴウが溜息をついた。
「もしかして二人とも何か大きな誤解を・・・・」
「がそんなことするはずがないと知っているから、多分その予測はあっているだろう」
ゴウの言葉にはルカとユダの顔を見比べた。
そのどこか切羽詰ったような表情に二人も何かを察したようである。
「まずは事情説明を願うがな」
「あっはい。じゃぁ服・・・」
「まだクスリが乾いてないぞ」
「あぁそれじゃぁ・・・すみません、こんな格好なのですが・・・・」
「わかったから続けてくれ」
「はい」
はうなずくと事の経緯を話し始めた。
「私がゼウス様の夜伽を行っていることはご存知でしょう?毎度辛いものがあるのですが、それでも翌日には痛みもなく普通に過ごしていけましたが・・・最近は本当に苦しくて。昨晩など、痛みがひどくていつものように湖に行けなかったのです」
「それは本当か」
「嘘ついてどうするんですか。おかげで私は夜中ゼウス様にばれやしないかとはらはらしていたんです。そして今朝・・・・ひどい腰の痛みに耐えられなくなった私はルカにマッサージを頼みに来たんです。頑張りましたよ、本当に辛かったんですから」
「ここに来た時の背は真っ赤でな。軽くほぐしてやっていたんだ」
「私の家に痛みに効く薬があったのでユダに取りに行ってもらっていたんです」
なんとなく事情が飲み込めたゴウは渋い顔で溜息をついた。
は申し訳なさそうにゴウを見た。
「わかった・・・・シンとレイを探そう」
ゴウの言葉にユウラは慌てて服を着て立ち上がった。
少しふらついたをユダとルカが支える。
「すみません。でも大丈夫です・・・・私の、せいですから」
そして天使たちはシンとレイを探すために外へと出て行ったのであった。