気持ちの呼応
?」
「ガイ・・・」

は潤んだ瞳をガイにむけた。
その瞳に浮かぶ涙を見たガイは慌てた。はいつも笑顔なのだ。
涙など見慣れていない。

「どうしたんだよ、キラにいじめられたか?」
「違うよぉ、誰かが近くで泣いてるから・・・・・」

そう言っては涙をふいた。ガイはさらに慌てた。

「会いたいって・・・・・でも会えないって・・すごく辛いよぉ」
、大丈夫だって」
「ガイはいなくならないよね」

ガイはすぐにうなずいた。は嬉しそうに笑う。

「誰が泣いてるのかわかるか?」
「ううん。ボクにわかるのは漠然とした場所だけ」
「行ってみようぜ」

ガイはの手を握った。はうなずいて立ち上がる。
二人は森の中に入って行った。
森の奥には泉がある。どこまでも深く、地上のある場所へ水が落ちているらしい。
しかも今度はそこから地獄につながっているのだ。

「あっ・・ユウラ様だ」

は泉のほとりに立つ銀髪の天使を示した。
神官長と天使長を兼任するユウラだ。

「ユウラ様が泣いてるんだ。ガイ、どうしよう」
「ユウラか・・・・・・たくさんわけありらしいし」
「ガイ〜」
「しっ、何か言ってる」

ガイはの口を手で覆った。の顔が赤くなったことにガイは気がつかない。

「この泉に身を落とせば、あなたに会えるのでしょうか」
「ユウラ・・・・・・」

ガイは辛そうに顔をゆがめた。なんともいえない。
ユウラは溜息をついて翼を広げると神殿に戻って行った。

「ガイ?」
「ん、どうした
「なんだかドキドキしてる?」

は首をかしげた。ガイはかぁっと顔を熱くする。
森の茂みの中で互いの息がかかるほど近い。
かなりまずい状況ではないだろうか。これは見る者によってはそういう風に見えるのではないか。

「なんで?」
「そりゃ・・・・・」
「ボクもドキドキしてるんだよ。わかる?」

はガイの手を自分の胸へ持っていく。
ガイは余計に熱くなる。

「すごいドキドキしてるんだ。ガイと一緒にいるからかな」

は小さくはにかんだ。ガイはたまらなくなってを抱き締めた。

、大好きだ」
「え、ガイ・・・・」
が好きだ」

は驚いたように目を見開く。

「好きだ」

何度も何度もの耳元で言った。
互いの鼓動が速くなっていく。

「ボクも、ガイが好きだよ」

小さく、風の音でもかき消されそうなほどの声がガイの耳に届いた。

「大好き」

二人は顔を見合わせて笑うあう。
二人の気持ちは確かに呼応しあっていた。