天使たちの談笑
「仲は上々のようですね」

ユウラはお茶の入ったカップを目の高さまであげて微笑んだ。
目の前の仲間たちはなんとも言えない顔をしている。
ユウラの隣に座るラキは苦笑した。

「どうやら、彼らは無意識のうちにたらし、とかいうものの才能を手に入れているようですね」
「確かに」
「あなたたちがそこまで彼らのことを好きになってくれるなど意外でした」
「惚気るよな、俺らと同類だし」
「そうですね」

ユウラは苦笑を禁じえない。友人たちは顔をそらす。
全員が全員上手くやっているようだ。今この場にキラ、マヤ、パンドラ、カサンドラ、シヴァの姿はないが、彼らも上手くやっているという。

「なんでユウラが俺たちが上手くやっていると知っているんだ?」

ゴウの問いにユウラは笑顔で返した。

「何故って本人達が教えてくれるんですよ。今日はこんなことした、こんなこと教えてもらったって」
「だなー俺たち毎日大爆笑してるぜ」
「楽しい日々が続いているようですね。何よりです」
「ユウラ」
「はい」
「もしかして僕たちを暇つぶしの道具に使ってませんか・・・・・・・」

レイの言葉にユウラは意外なものを聞いたように眼を見開いた。

「そんなことあるわけないじゃないですか。純粋な好奇心というものです」
「余計に性質が悪いって・・・・あっ、ラキお代わり」
「はいはい」

ラキは新しいお茶を注ぐ。

「しかし冗談を抜きにして、私はあなたたちに感謝しているんですよ」
「感謝?」
「はい。あなたたちが彼らに笑顔を与えてくれました。実は彼ら、人間界では上手くやっていけてなかったようなのです。イジメにもあっていたようなので、即刻呼び戻したました」
「人間恐怖症みたいなものに陥っていたからな。なんとかこいつらに笑顔を取り戻してやろうということで、一番気の置ける仲であるお前たちが選らばれた」

ユウラとラキは似たような笑みを見せた。

「感謝してますよ」
「あぁ。ありがとな。あいつら、俺の弟分みたいなものだから」
「感謝するのはこちらのほうかもしれないな」
「えっ?」
「彼らと会わせてくれたことに」

ユダの言葉に誰もがうなずいた。ユウラとラキは顔を見合わせて笑いあう。
そんなお茶の場に賑やかな声が聞こえてきた。

「ゴウ」
「ルナ」
「レイ・・・っ」
「サラ、顔が真っ赤ですよ」
「シン」
「カル、また水を浴びてたんですね」
「ガイー、一緒に遊ぼう!」
「そうだな、ソラっ」
「ユダ、手合わせお願いします」
「あぁ、かまわない。手加減はしないからな、スウ?」
「シア、空を飛ばないか」
「あぁ」

ユウラとラキの口元が知らず知らずのうちに緩んでいく。
惚気ないと呟いていた者たちがそろいもそろって惚気ている。
相手のほうも相手だから仕方ないだろう。

「ほら、皆さん。私が作ったお菓子はまだ山ほどあるんです。ちゃんと完食していってくださいね」

そしてまた賑やかなお茶会が始まる。
ユウラとラキは楽しそうな顔で賑やかに笑う恋人達を見つめたのであった。