耳飾
のはかなりの人見知りである。仲間である天使たちはいいのだが、初対面の天使の前では怖気づいてしまう。今回もそうだった。
ユウラから風牙のマヤという天使を紹介されたとき、思わずそばにいた藍玉のシアのそばに隠れてしまった。
人見知りではない。あまりにもマヤが可愛かったためだ。
「って呼んでもいい?」
「はっはい!」
はドキッとして声が上ずった。マヤはころころと笑う。
「ってボクよりも年上に見えるけど、意外と年下みたいだね」
「そう、かな」
マヤは笑顔でうなずいた。はドキドキしてしまう。
「そういえばの髪って綺麗だね」
「そう?ありがと・・・・他の皆も綺麗だねって言ってくれるんだ」
「とっても綺麗だと思うよ」
は髪の色を褒められるのが好きだった。嬉しそうにはにかんで笑う。
「ボク、マヤの髪の色も好きだな」
「ボクの?」
「うん!綺麗なオレンジだね。夕焼け色だよ」
「ありがと」
ふとマヤは服のポケットから何かを取り出して、の手に乗せた。
マヤの手が自分の手に触れ、は赤くなった。
「あの、これは・・・」
「耳飾、一度降臨したときに見つけて買ったんだ。なんだかに似合いそうだからあげる」
マヤに渡されたのは濃い青の石を中心とした耳飾である。
「紅の髪に映えるかなって思ったんだけど」
「あっえと、ありがとう」
マヤはそっとに近寄ると耳飾を手にとって笑った。
「ボクがつけるよ」
マヤの指先がの耳に触れる。はぎゅっと目を閉じた。
「うん、やっぱり似合う」
マヤの声に目を開ければ、微笑むマヤの姿が見える。そっと耳に手をやれば、揺れ動く感触。
「つけてくれたの?」
「うん。すごく可愛いよ、」
「・・・・・・ありがと。なんだか照れるな」
マヤは小さく笑ってに手を差し出す。はきょとんとしてマヤと差し出された手を見比べた。
「手をつなごうよ。もう、恥ずかしくないでしょ?」
「・・・・・うん」
はうなずいて、マヤの手を握った。
の耳飾が日の光を反射してキラリと光ったのであった。