喧嘩と・・・

劉輝は無言の蘭華におびえていた。

茶を注ぐ蘭華の手つきがいつもより荒々しい。声をかけるのもためらわれた。

「・・・・・・・」

「どうぞ、主上。それを呑み終わったらさっさと仕事を進めてくださいね」

「はい」

逆らったらなにがあるのかわからない。

劉輝は真面目に仕事をはじめた。

とそこへ楸瑛がやってきた。彼もまたいつもと違う様子の蘭華に驚いた。

「蘭華殿・・・・」

「なんのようですか、楸瑛。(ニコッ)お仕事はどうしましたか」

「いや・・・・・蘭華殿、何を怒っているのかな」

「さぁ・・・・・・・」

楸瑛はもうなにも聴かないことにした。

さて、場所は変わり戸部尚書の部屋

「鳳珠、なんでも蘭華さんが荒れているようですが・・・・・」

「知らん」

「・・・・何かありましたか」

「ナニモ」

「・・・・・・・」

景侍郎はため息をついた。

この夫婦は仲がよいのはよいのだが、喧嘩をするとどちらも頑固であるため中々仲直りをしない。

さて、今日の喧嘩の内容はなんだろう、と景侍郎は考えた。

また場所も変わり、今度は黄家

鳳珠&蘭華の息子倖斗がお付きである双子の青年二人、慧璃と翠璃を話していた。

「母上も父上もなんで喧嘩なんか」

「今日はお二人の結婚記念日だそうです」

「結婚記念日?」

「お二人が添い遂げられたときです」

「・・・・・・」

「倖斗様には難しいでしょう」

緑色の瞳を持った翠璃は言った。藍色の瞳を持った慧璃もうなずく。

「で、なんで喧嘩したの?」

「鳳珠様がお忘れになられたそうですよ。蘭華様は今日のために、主上にお休みをいただいていたそうです」

「・・・・・・父上は変なところで抜けているから」

倖斗はため息をついた。確かにそのとおりだと、双子の青年はため息をつく。

そして先に蘭華が帰ってきた。

「母上、お帰りなさい」

蘭華は倖斗を抱き上げた。

「ただいま、倖斗」

「・・・・・母上、元気ないですね」

「そうでもないですよ」

「・・・・・僕は母上のこと、大好きですよ」

倖斗の言葉に蘭華はわずかに嬉しそうな顔をした。

「もちろん父上も」

にこっと笑った倖斗の言葉に蘭華は振り返った。

鳳珠が仮面をつけた顔をそらして背後に立っていた。

「鳳珠・・・・・・」

「蘭華様」

蘭華の腕から倖斗を抱き取り、慧璃と翠璃はその場から離れた。

もちろん他の家人たちに邪魔をしないよういい含めておくことも忘れない。

「・・・・・・・悪かった」

「えっ・・・・・・」

「今日のことを忘れていた」

「・・・・・・・・それは・・・仕方ないですわ。だってお仕事で忙しかったんですもの」

「許してくれるか」

「・・・・・はい」

鳳珠はわずかに微笑むと蘭華を抱きしめた。

「愛している」

「私もですよ、鳳珠」

二人は目を見交わして微笑みあうとそっと口付けあったのであった。

こうして夫婦の喧嘩は終りを告げたのであった。

子供と付き人二人は作中未登場 このまで仲が良くていいのか、この夫婦・・・・