?」

サキの声にその天使はびくりと身体を震わせた。
振り向いた顔に涙のあとが残っている。

「どうした」
「何でもありません・・・・」
!」

サキは逃げようとするの腕を引いた。
は身体を強張らせる。

「どうした、
「なんでもないです。離して下さい・・・」

「あなたに泣き顔は見られたくない」

サキはの頬に触れた。
新たな涙がの瞳から零れる。

、俺には話せないことなのか」
「違います・・・・あなただから・・・・あなたに不安をかけたくはないから」

サキはそっとの涙を拭った。
は潤んだ瞳をサキへむけた。
サキは優しくの銀色の髪を撫でた。

「俺がそばにいたら不安か」
「えっ・・・」
、俺はお前を愛している。お前の涙を拭うのが俺の役目だろ?」
「サキ・・・私は、あなたのそばにいてもいいんですか」
「当たり前だ」

は涙を拭って、サキを見た。

「私・・・・上位天使ではないのに、あなたと一緒にいて、ここに住んでいるから・・・」
「他の天使から苛められたか?」

は無言のままだ。だが、それが如実に物語っている。
サキは自分に憤りを感じた。

、お前を選んだのは俺だ。だから、お前が何かを思う必要はないんだ」
「サキ・・・」
「愛してる、

お前は、とサキは優しくたずねた。
は新たな涙を流して、微かな笑みを浮かべた。

「愛してます」
「それで十分だ。お前が泣く必要はないんだからな」
「・・・・・」

はサキに飛びついて身体を震わせた。

、ごめんな・・・」
「サキ・・?」

ぐすっ、と鼻を鳴らしながら、はサキを見上げた。

「お前に辛い想いをさせて・・・・こんなに泣かせて」
「私は・・・私は、サキのためだけに涙を流しますから」
・・・・・」
「私の涙も、心も身体も全部、サキのもの・・・」

は微笑んだ。
サキはを抱き締める。

「まったく・・・・お前ってやつは」
「サキ?」
「手放せなくなる。そんなことを言われると」
「では・・・・・放さないで下さい。ずっと、私をあなただけのものにして」

とサキはそっと指を絡ませあった。
冷たくなったの手にサキのぬくもりが伝わる。
サキはの頬に残る涙のあとに触れると、頬に唇を落とした。

「二度と泣かせない・・・お前に、誓うよ」