暁
あなたが好き。でも私は臆病だからまだあなたにこの想いを伝えてはいない。だって嫌われそうで怖いんだもの。
「」
「昌浩・・・・」
「どうかしたの?顔が暗いよ」
「なんでもないの。ただ・・・・・なんだか暁を見るたびに切なくなって」
「?」
「・・・・きっと私が臆病だからだね。昨日と同じ日を過ごせるわけないと知っているからかもしれないわ」
「・・・・・」
「ごめんね、昌浩。一人にして」
「うんわかった」
昌浩がいなくなっては部屋の中に一人になった。
そして日が昇るのを静かに見ていた。
「・・・・・・・あなたに愛していると言えたらどんなにいいだろう・・・・・」
「?」
いぶかしげな声が背後から聞こえてきた。は驚いて背後を振り返る。
そこに一人の神将がいた。
「太裳・・・・・」
「どうなさいました。顔色が優れないようですが・・・・」
「ううん、なんでもないよ」
はそっと笑んだ。太裳はの頬へと手を伸ばすがそれを途中で思いとどまった。
「太裳?」
は不思議そうに太裳を見た。太裳はひどく切なそうな顔をしている。
「どこか・・・・・・痛むの?」
「いえ・・・・」
「じゃぁなんでそんなに切なそうな顔をするの?」
「・・・・・・・・・」
の手が太裳の頬に触れた。太裳はそっとその瞳を閉じた。
「きっと・・・・・今日がきて、明日がきても・・・・・あなたと同じ時間を過ごせないと知っているからでしょう」
「どういうこと・・・・・?」
「いつかあなたは妻となり、子をなし・・・・私のそばから離れていく。あなたとあと幾日このようにして暁を見ることができるのか、と思いまして」
「・・・・・・・・太裳、私は誰の妻にもならないわ」
「何故・・・あなたはこんなにも美しいのに」
「私がいなくなったらあなたが哀しむと思ったから」
「えっ?」
は笑みを浮かべた。慈愛に満ちた笑みだ。
はそっと太裳を抱きしめる。
「あなたが好きよ、太裳・・・・私、あと何度こうしてあなたと暁を迎えられるのかしら」
太裳は眼を閉じてからを抱きしめる。
「何度でも・・・・あなたが私のそばにいてくれる限り」
「本当?」
「はい」
太裳は微笑んだ。も嬉しそうに笑う。
「嬉しい。よかった・・・・・・」
太裳はの瞳に浮かび上がった涙をそっと拭き取った。
「太裳」
「はい」
「ずっと・・・・いっしょにいてね?」
「はい」
幾度日昇れども
我が行く道は変わらず
汝と歩き続ける
この日照らす道を