アタシヲ愛シテ
私はアクマ

アクマに発生したただの「自我」

あなたに恋をすることなんか許されなかったのに・・・・・



「エクソシスト、ですか?」
「ええ、一名が探索部隊とともにあなたの城にむかっていまスvvそいつらを殺してイノセンスを破壊なさイvv」
「かしこまりました」

イノセンス、それはアクマを破壊する偽りの神の創造物。私はそれが苦手だ。
いや、私だけじゃなくてアクマならすべて苦手かもしれない。

、仕事?」
「ティキ様・・はい。ティキ様はお帰りになられたところなのですか?」
「そう。、無理するなよ」
「はい」

ノアの一族ティキ様に一礼して私は自分の住処に戻る。
まだエクソシストたちは来ていないようだ。

「エクソシストが来たら教えて」

レベル1のアクマたちにそう指令を出して、私は眠りについた。
なんだかとても疲れたような気がする。

アクマの緊急の知らせに私は飛び起きた。
既にエクソシストはこの城にやってきているというのだ。

「・・・・」

私はそのエクソシストを見つけた。白い髪の、まだ少年と言っていいくらいのエクソシストだった。
私はそっとそのエクソシストの前に姿を見せる。左目から嫌な気配を感じた。
早く殺さなければ。でも、私は彼を見たまま動けなかった。

「あなたはアクマですね」
「えぇ。あなたは?」
「エクソシスト、アレン・ウォーカーです」


「古城の姫?」

アレンはコムイに呼ばれ、任務内容の説明を受けていた。
コムイはうなずいて、アレンに資料を渡す。

「一人の姫君がそこでアクマになった。村人たちは彼女に殺されて全滅。何回か探索部隊を様子見に行かせたけど全滅。そこでアレン君、キミ達エクソシストに出動してもらうことになった」
「・・・・わかりました、すぐに出発します」
「頑張って」

アレンは探索部隊数人とともに古城へと向かった。
荒れ果てた古城には蔦がまきついている。ところどころ塀が崩れている。

「・・・・」

アレンは中に踏み込んで行った。すぐにアクマが数体襲い掛かってくる。
それを破壊し終え、また奥に踏み込むとアレンの前に淡い色のドレスを身に纏った姿が現れた。
左目がアクマだ、と伝えてくる。

「あなたはアクマですね」
「えぇ。あなたは?」
「エクソシスト、アレン・ウォーカーです」

相手はアクマだとわかっているのに、アレンは動けなかった。

「私は。この城を守っているの」
「伯爵の命令ですか」
「いいえ・・・それはきっと違う。私の体になった女の想い・・・・」

はアレンを見つめた。何故だろう、彼を見るたびに頭が痛くなってくる。
アレンはを見つめた。何故、彼女を見るたびに胸が痛くなるのだろう。

「この城の姫は愛されたかったそうよ・・・・・・誰にも見向きをされず、寂しく独りで死んだんですって」
「あなたも愛されたいんですか・・・・」
「さぁ、どうかしら」

は小さく笑った。愛されたいのかもしれない。でも
自分は発生したただの「自我」
愛されることなんか許されるわけがないのだ。

「でもこんなに胸が痛くなるのは・・・・・そういうことなのかしらね」

は自嘲するように笑った。
アレンはにむけてイノセンスをむける。

「体をコンパートしないんですか」
「・・・・したくないのよ。この姿のまま、死ぬのなら死にたいわ」
「・・・・・・あなたの核となった魂は泣いているように見えます」
「どうして?」
「愛されたいって・・」
「それはきっと私の望みでもあるのね」

はアレンを見て微笑んだ。きっと自分は彼を愛してしまっている。
彼はエクソシストなのに。自分はアクマなのに。

「ボクは・・・・・・おかしくなってしまったんですね」
「あらどうして?」
「あなたを破壊すればその魂は救われるのに・・・・ボクはあなたを破壊することを望んでない」

アレンは真っ直ぐにを見つめた。

「あなたが好きなんだ」

の顔が一瞬驚いたようなものを浮かべ、それからすぐ笑顔に変わった。

「ありがとう、嬉しいわ。でも・・・・・・」

は微笑む。

「私を壊さないと。それがあなたの仕事でしょう?」

愛シテ

「できるわけ・・・・」
「できるわ、あなたなら」

ワタシヲ愛シテ

モット、モット

「あなたのこと、愛シタイ」


愛シテ、愛サレテ
ちょっとだけ望みは叶えられたかな・・・・・