会えないモドカシサ
「、随分とそわそわしてるねぇ。落ち着きがないよ?」の言葉にはビクッとした。
「そんなにリナリーに会うのが待ち遠しいんだ」
の言葉には赤くなる。 はクスクスと笑った。
「そんなに心配せずともリナリーは待っていてくれるよ」
「リナリーは関係ないって・・」
「へぇぇぇぇ・・・・・」
「あぁもうっ、うっさい兄貴!」
「あはははは」
を船の端っこに向かわせ、はまた一人考えごとにふける。
だんだんと教団本部が近づいていくにつれ、落ち着きがなくなっていく。
彼女は自分のことを待っていてくれるだろうか、任務に出て怪我をしていないだろうか。
そう考え始めると、人間悪いほうに考えが向かってしまう。
「リナリー・・・」
は笑顔が明るい少女の事を思い出した。
"おかえりなさい"と言ってくれるだろうか。いつものように、あの笑顔で。
「ほぉら、着いたよ」
「えっあぁ・・」
「おかえり、くん、くん」
「あれ、室長。リナリーは?」
「リナリーかい?たぶん中にいると思うよ」
「そうですか、わかりました。、行くよ」
「あぁ」
やが任務を終え、戻ってくる二日ほど前のこと。
リナリー・リーは落ち着きがなく、そわそわしていた。
かたわらで本を読んでいた冬乃が顔をあげてリナリーを見た。
「リナリー、なら問題ないわよ。殺しても死なない双子だから」
「えっ・・・・」
「のことを心配してるんでしょう?さっきからずっと落ち着きがないわよ」
リナリーは僅かに顔を赤らめた。
「違うの・・・・・・・ただ・・・・」
「?」
「もどかしいって感じなのかな・・・・」
「もどかしい?」
「うん・・・・」
冬乃はしばらくリナリーを見ていたがやがて小さく笑った。
「会えないからね。でも大丈夫、きっとすぐに帰ってくるよ」
そして二日後。兄弟帰還の知らせを受けた冬乃はリナリーの部屋の戸をノックしていた。
「リナリー、たちが帰ってきたそうよ」
「本当?」
「えぇ。多分コムイが出迎えてるわ。会いに行ったら?」
「うん」
リナリーはパタパタと走って行く。
その後姿を見ながら冬乃は苦笑していた。
親友以上恋人未満なとリナリーの関係である。
「まだまだ二人とも子供ねぇ」
リナリーは息を切らして科学班にいた。
「、君、は?」
「なら部屋」
にいると思う、とリーバーの言葉を最後まで聞かずリナリーはまた走り出していた。
リーバーは苦笑して、やって来た冬乃を見る。
「仕方ないわよ、親友以上恋人未満なんだから」
「以下じゃなくて未満ですか。手厳しいですね」
「ふっ、まだまだ二人とも子供よ」
は部屋の戸がノックされたのに気がついた。
慌てて脱ぎかけていた団服をもう一度着て、戸をあける。
「くん」
「リナリー・・・・・」
「・・・・・おかえりなさい」
リナリーは笑顔で言う。
はちょっとだけ間をおいて笑顔をリナリーにむけた。
「ただいま、リナリー」
はそっとリナリーの頬に触れた。
リナリーはきょとんとしてを見る。
「会いたかった」
「私も」
恋人同士というにはまだまだ遠い二人ではある。
冬乃は影から見守りつつ溜息をついた。
隣でが苦笑する。
「二人とももどかしさというものを感じているのなら、もうちょっとやりようがあるでしょうに」
「あの二人にはちょうどいいんですよ」
離れている間、ずっともどかしかった。 今度はいつ会えるんだろう。君は怪我をしてないだろうか。 でもそんなもどかしさが気持ちよくもあった。 君はこんな思いしてる?ボクのこと待っていてくれる? また戻ったら、いつもの笑顔をボクに向けて "おかえり"って・・・・