日
あんな人間ははじめてだった。神である天照に初対面にして剣を突きつけてきた。
"あなたは誰・・・・・"
強い光を宿した瞳。
神を引き寄せる波動。
そして何よりも・・・・
「私自身が惹かれたか・・・・・」
軽く苦笑して天照は酒杯をあおる。
はじめて会ったのはいつだったか。確か彼女が冥官になって間も無く、鬼の呪いを受けたあとだと思う。
"螢斗も翡乃斗も心配性なのよ。別に呪いを受けたからって今すぐに死ぬわけじゃないでしょう"
"心配性でもかまわない。我らはお前を守るためにいるのだから"
"・・・・・・・紫、お前は人間なのだ。少しは自分の体のことも考えろ"
闇と光の神を彼女のそばにつけたのは月読だ。
天照は興味本位に彼女を見た。
そして心奪われた。
"誰・・・・・"
小野家宝刀狭霧丸が天照に突きつけられる。
彼女の傍らに控えていた式神たちの気配が固くなった。
"なんでいるんだ・・・・・"
搾り出したような声が螢斗の口から漏れる。
彼女は不思議そうに狼の姿をした神を見た。
"知り合い?"
"高天原統治神、天照大御神だ"
ゲッという小さな呟きが彼女の口から漏れた。
初対面時を思い出して天照は笑う。
「凛々しかったな、紫・・・・・・」
彼女のそばに置いた配下が聞けば確実に嘆息ものである。
弟もまた溜息を漏らすであろう。言われた張本人は・・・・・・・・・・
確実に鳥肌がたっている。
「まぁしばらくは楽しませてもらうとするか・・・・・」
月があの星に魅かれる様に
日もまたあの星に魅かれる
お前を我が手中に・・・・・・