音信不通
「ラビが任務で消息を絶ったって本当ですか?!」アレンが室長室に飛び込んでくる。そこにはいささか暗い顔をしたコムイ、リナリー、、無表情の神田がいた。
「なんの連絡もなしだ。アクマを見つけた、って連絡が入ったときからな」
が言う。
「探索部隊のほうにも連絡を入れてみたけど、繋がらないんだ・・・・」
「もしかしてもう・・・」
「アレンくんっ!」
アレンはハッと口をつぐんで、を見た。は何も言わない。
「ラビが死ぬはずはない。あいつがな・・・・・」
「神田・・・」
「そうよ、、あなたが信じなくてどうするの」
はチラリとコムイを見ると何も言わずに室長室を出て行った。
部屋へと続く道を歩きながらは唇を噛み締めていた。も信じている。ラビが死ぬはずないということを。
しかし、ラビも人である。人である以上は死ぬことだってある。
「心配かけんじゃねぇよ、クソウサギ」
傍らの壁にコブシを叩きつける。プツッと音がして口の中に血の味が広がった。
「・・・・・・馬鹿ラビ」
は身をひるがえすと教団の外へと歩いて行った。
ラビが音信不通となってから中々寝付けなかった。心配だ、ということもあるが寝るたびに・・・ラビの血まみれの姿が夢に出てくるのだ。
「くそっ」
ふと教団の入り口に立つの元に誰かが歩いてくるのが見えた。
よくよく目を凝らせば見慣れた姿である。
「ラビッ!」
そう、声に出して駆け寄った。ラビはの姿に気がついたのか顔をあげる。
「、出迎えてくれたんさ?」
「阿呆、お前音信不通でなにやってたんだ!!」
「悪い悪い。ゴーレムを破壊されちまってさ・・・・・・でもちゃんとイノセンスの回収はできたから」
そう言って笑顔を見せるが疲れ切った笑顔である。はラビの体に腕を回して抱き締めた。ラビの顔が少し苦痛に歪む。それと同時にの手にぬるっとした生暖かいものが触れた。
「ラビ、お前怪我してるのか」
「ん・・・・・・だから抱き締めるのだけはちょっとやめてほしかったさ」
「バカッ、そういうことはさっさと言えっつぅのに・・・・・歩けそうか?」
「ムリ」
ラビはに体重を預けてくる。は少々よろめきながらもそれを支えた。
ラビがの耳元で囁く。
「一緒にいた探索部隊・・・・・守りきれなかったさ」
「・・・・・俺はお前が無事ならそれでいい」
「でも・・・・・」
まだ何か言おうとするラビの唇をは塞いだ。
「何も言うな、あいつらが死んだのはお前のせいじゃないから」
「・・・・・」
「ほら、中に入ろうぜ。みんなお前のことを心配していたんだから」
「・・・・」
「ん?」
軽く首をかしげたにラビは口付けた。
「ただいま」
「・・・・・・お帰り、ラビ」
もう二度と心配なんかかけんなよ・・・・・・