後悔はしていない
「なんで・・・・」
「何故・・・」
「ユウラ・・・・」



そんな言葉を聞きながら泣きそうなユウラの口元に笑みが浮かんだ。



「ユウラ、ルシファーが反逆した。殺せ」 "逆らうことは許されない"

「・・・・仰せのままに、ゼウス様」

ユウラは身をひるがえすと戦地へと向かっていく。

「ユウラだ!!」

「ユウラ、助けに・・っ?!」


一人の天使の喉に聖なる矢を放つ。その天使が絶命する間際三人の天使が射止められた。


「ゼウス様の命により、あなた方をここで抹殺します」

「ユウラ・・・・・」



黒髪の天使がユウラを驚いたような目で見ていた。



「ルシファー様・・・お覚悟ください」

ゆっくりとユウラの手にもつ剣がかかげられた・・・・・・・・。




ユウラは目を開けた。

そしてそこが天空城だと気がつくとほっと息を吐き出した。

六聖獣たちに夕食に招待され、そのまま眠ってしまったらしい。

よりによってこの幸せな場で遠い昔のことを夢見てしまうとは・・・・・・


「ルシファー様・・・・・」


心に思うのは楽園から落とされ地獄に落ちた天使・・・・ユウラにむけてくる眼差しは温かくて、優しくて


「・・・・・・・・・・・」


ユウラは周りで眠る六聖獣達一人ひとりに目をやった。彼らもいずれは引き裂かれる。

それを知りながらもユウラには何もできない。あの時、ゼウスに逆らえなかったように・・・・


ゆっくりとユウラは胸に手をやった。そこにはルシファーから受けた刀傷がある。

唯一ユウラがゼウスに逆らった時・・・・・一番初めに生み出された彼は始めて逆らった。

自らルシファーの攻撃を受けることで彼を殺す運命から逃れたのだ。


「後悔なんてしていない・・・・いずれあの方の元へ行けるのだから」


そう遠くない日、ユウラは自らの胸を貫きルシファーの元へ向かう。


「そのときは私をたくさん叱ってください」









後悔なんてしていない。あの人と共にある運命を手に入れたのだから。

今度は、今度こそはあなたのそばに・・・・・