下駄箱
銀星学園に入学してはや二ヶ月。新しい学園生活にもなれ、桜はなかなか楽しんでいた。親友もできた。ちなみに部活はまだ決めていない。
「おはよう、桜」
「おはよ、ルキア」
一番の親友朽木ルキアに正門前で出会うとそのまま二人で昇降口まで向かう。
途中で何人かの先輩(男)に声をかけられた。桜は中々可愛いのだ。狙う男はたくさんいる。
「・・・・・・・・」
桜は下駄箱をあけて、固まった。そんな桜を不審に思ったのか、ルキアは桜の下駄箱をのぞき、ニヤリと笑う。
「すごいな、桜。入学してまだ二ヶ月しか経ってはおらんのにもう恋文がきている」
「どっどうしよう・・・・//////」
桜の下駄箱には白い封筒が数多く入っていた。言わずもがな、ラブレターである。
入学してまだ二ヶ月しか経っていないのに、入学してから毎朝桜の下駄箱には数多くのラブレターが入っていた。
「私、本当に下駄箱がラブレターの入れ物だったなんて思いもしなかった」
「桜、微妙に日本語がおかしいぞ。でもいいではないか、もてている証拠だぞ」
「もてなくていいよ・・・・・・」
トホホ、という感じで桜はラブレターをかき集める。カバンの中に入れ、さて教室にむかう。
「おはよう、朽木さん、東宮さん」
「おはよう冬乃ちゃん」
乙女らしい、瑚乙冬乃が二人に声をかけた。どちらかというと桜よりも冬乃のほうが美人な気がするのだが、何故か冬乃には一通もラブレターはこない。
「あら、東宮さん、またもらったの」
「うん・・・・・冬乃ちゃんのほうが可愛いのにね」
「いえ、私には絶対にきませんから」
「なんでそんなこと言えるの?」
「さぁ・・・・・・」(黒笑)
桜とルキアは冬乃の笑みに何も言わなかった。ちなみに男子でラブレターを貰っているのは隣のクラス1−Bの朱雀院兄弟だと聞く。
二人ともかなりの美形らしい。ちなみに女子の噂では、三年の男子生徒にかなりの美形がいるとかなんとか・・・・・・
今度会ってみたいなと桜は思っている。やはり彼らも下駄箱にラブレターが入っているのだろうか・・・・・と桜は思った。
そんなこんなで授業がはじまる。一時限目は理科だった。
「浦原先生か・・・・・・」
「あの微妙に変態なやつだな」
「東宮さん、襲われないように気をつけてくださいね」
「ガンバリマス・・・・」
理科教師、浦原は腕はよかった。が微妙に変態なのだ。
どうやら桜を気に入ったらしく、結構授業中にも話しかけてくる。
一年生のときからこの学園では実験を行う。グループで行っていく中で、時々教師が様子を見たりするのだ。
浦原はよく桜の背後にくると、耳元で低く囁いたりする。そのたびに桜は驚いて実験器具を倒したりしてしまうのだ。おかげで今日までにいくつ実験器具を壊したことか・・・・・・
「うう、怖いよ・・・・・」
「大丈夫だ、いざとなったら私と冬乃で守るから」
「そうですよ。さぁ行きましょう」
理科実験室特有の匂いがする。桜は覚悟を決めて中に入った。
授業開始一分前、浦原が白衣にめがねといういつもの格好で現れた。
「はいはい、皆さん。今日は簡単な塩素の実験を行いますよ。さて方法はプリントにあるんでやってくださいねvv」
浦原はプリントを配っていく。桜たちの班にもプリントが配られた。
「さて始めてください」
浦原の言葉で全員が道具を取りにいったり、薬品を取りに行ったりと動き回る。広い実験室のためぶつかることがないから安心だ。
「桜さん」
「はっはい」
「怪我には気をつけてくださいね」
「・・・・・・・・わかりました」
桜はビーカーを持っていそいそと班に戻る。
そして実験をはじめた。が・・・・・・・
「きゃぁっ!!」
同じ班の男子がビーカーを倒し、中にあった薬品が桜の手に飛び散る。
慌ててやってきた浦原が桜の手をつかみ水で薬品を流す。桜はあまりの痛みに涙を流した。
「大丈夫っすよ。大丈夫・・・・さっ、保健室に行きましょう。皆さん、実験はいったんやめてください」
浦原はそう言うと桜とともに保健室へむかった。