鏡の中の自分はとても悲しそうで
ゆっくりと私は目の前の鏡に手を当てた。無表情な自分が映っている。
無表情の中にどこか悲しそうな顔がある。
「何故泣いているの?」
私が訪ねた。
「苦しいから」
「何故苦しいの?」
「あの人が振り向いてくれないから」
「あの人はあなたのことが好き?」
答えられない。
わかるはずもない。だって私は想いも伝えていないのだから。
「きっと嫌い・・・・」
「じゃぁ諦めたら?」
私は首を振る。
それはできない。
「どうして?」
「だって・・・・きっと諦めたらあなたはもっと悲しそうな顔をするだろうから」
縛られて生きてきた私にやっとめぐってきた機会。
もう一人の自分が笑えるのなら、私は辛くたってかまわない。
「あなたがいることが私の支えになるから」
行こう、あの方の元へ。
この縛られた翼が解放されるというのならば、一番にあの人の下へ
貴方が笑顔になれるように。
もう一人の私が笑えるように。
「今はだめでもいつかきっと行けるから・・・・・ほんの少しの我慢だよ」
ルシファー様・・・・・・・。