泣かないで、君に涙は似合わないから
「ラビ?」「あぁ、ちょうどよかったさ」
「どうしたの。急ぎの用だからってリナリーに聞いたんだけど」
「そうさ、めっちゃ急ぐんさ」
ラビはにこやかに笑っての腕を引いた。はそのままラビの部屋にはいっていく。
「ラビ?」
「・・・・、ハッピーバースディ」
ラビはにクロスのペンダントを差し出した。は目を丸く見開いてラビとペンダントを見比べる。
「これ・・・・・」
「プレゼントさ」
「ありがとう!!ラビ、大好き!!」
はラビに抱きつく。ラビは嬉しそうに笑ってを抱きしめた。
「うん、そうだろ?オレ、に気に入ってもらえそうなものを一生懸命探したから」
「ありがとう」
はそっとラビの額に口付けた。ラビの頬が少しだけ赤くなる。
「・・・・・・しよ?」
「うん」
ラビはに口付けながら、その身体を愛撫していく。
の息が上がっていった。
「んぅ・・・・・ラビッ・・・・・」
「ん?なにさ」
「・・・・・・・消えないで・・」
「えっ?」
ふとラビはの瞳が青から赤に転じていることに気がついた。に寄生したイノセンスが発動しているのだ。
そしてそのイノセンスがに教えているのだ。ラビが今、どういう状態なのかを。
ラビは恋人の身体のあちこちに口付けを落とした。
「んぅ・・・・・」
「大丈夫さ。俺はの前からいなくはならないから」
「本当?」
「本当さ・・・・・」
「うれ・・・・・あっ!」
ラビはとのつながりを深めた。の顔が苦痛に歪む。
「ラビ・・・・・・」
「愛してるさ、。誰よりも何よりも・・・・・・」
「ダメ・・・・・逝かないで・・・・・・ラビッ!!」
「泣かないで・・・・・には笑顔が似合うから・・・・・・」
「いや・・・・・いや」
は首を振ってラビに抱きついた。の瞳からこぼれる涙がラビの身体に落ちてははじけてを繰り返していく。
「消えないで・・・・・・お願い・・・・・・」
「、泣かないで・・・・・・・には涙は似合わないさ」
「いや、ラビ・・・・・・ラビがいなくなったら・・・・・・」
「、笑ってくれさ。冥土の土産に・・・・・」
「いやっ・・・・・・」
「お願い」
ラビは優しく涙を舐めとる。はラビに抱きついたまま離れようとはしない。
ラビは軽く苦笑すると、律動をはやめた。の身体がビクンッとはねる。
「あっ・・・・・・・ラビッ・・・・・・・」
「のその顔、すごくそそるんさ。もっともっと俺にいろんな顔を見せて・・・・あとちょっとしか残ってないけど」
「ラビッ・・・・・・あぁっ」
「、ずっとずっと愛してるさ・・・・・・・チハヤのこと、忘れないから」
「私も・・・・・・私も忘れないから・・・・・」
「よかった・・・・・・」
「ラビィ・・・・」
はラビの名を呼びながら達する。ラビはそっと気を失ったを横たえ、その身体に毛布をかけてやった。
長めの前髪を掻き揚げ、そっと額に唇を落とす。ラビはそっと笑むと服を着て、ずっとつけていたバンダナを外した。
そのバンダナをの手に握らせて、今度は唇を重ね合わせる。
「、バイバイ・・・・・・・また会おうさ」
ラビの身体が砂となって消える。月明かりがの寝顔を照らし出していた。
は目覚め、そしてラビがいないことに愕然とする。
「嘘つき・・・・・戦争が終わったら結婚してくれるって言ったのに・・・・・・・」
はシーツを身体に巻きつけ、ラビの部屋を歩き回る。その手の中にはラビのバンダナがあった。
「ラビ・・・・・・」
二人でとった写真があった。互いに任務で出かけた町で買ってきたお土産があった。
そしてラビの机の上には手紙が一通あった。
手紙を開いて読んだはそれを抱えたまま座り込んで泣いた。
『To.
From.ラビ』
「ラビ・・・・・・私の涙をとめるのはあなたなんだよ。あなたがいなくちゃ・・・・・・・・・笑えるはずもないじゃない」
はただただ静かに部屋で涙を流し続けた。